退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

異次元の少子化対策「こども未来戦略方針」が発表されたワケだが…

岸田首相は13日、記者会見を開き異次元の少子化対策こども未来戦略方針」を発表した。解散・総選挙を表明するのかと思ったが予想は外れた。


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この「こども未来戦略方針」案は以下で読めるが、テキトーすぎてごった煮のようでひどく雑に思える。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai6/siryou1.pdf

ツッコミどころはたくさんあるが、3つほどとくに気になったことを挙げてみる。

数値目標やスケジュールが明確でなくゴールがわからない

資料によれば、目標は「少子化トレンドを反転」するとある。いったいどうなれば成功と言えるのだろう。人口が増加に転じて人口減少に歯止めをかけるのがゴールなのだろうか。それをいつまでに達成するつもりなのだろうか。

専門家の見解を訊くまでもなく、人口減のモーメンタムは止めようもない。すっかり手遅れの状況から「反転攻勢」できると本気で考えているのだろうか。まったく実現可能性のない空虚な方針で呆れるばかりである。

子育て支援」と「少子化対策」は似て非なるもの

今回の方針では、児童手当や育児休業給付拡充などが目玉のようだが、これは「子育て支援」になるだろうが、「少子化対策」にどれだけ寄与するのかさっぱりわからない。この2つの似て非なるものであり、まぜこぜにして議論しているところが雑にすぎる。

子育て支援」は子育て世代にはありがたい施策だろうが、これで人口減を食い止めることはできないのは明らかである。問題の本質は別のところにある。

財源を明らかにしない姑息な態度

今回の方針を実現するには、毎年3兆円規模の予算が費用だという。岸田首相は「徹底した歳出改革などを通じ、国民に実質的に追加負担が生じないことを目指す」というが、目指すのはポーズだけで、結局は大幅増税になることは火を見るよりも明らかであろう。そもそも3兆円もどこから持ってくるのか。

私などは、本当にこれで人口増に転じて、日本がかつてのように人口ボーナスで経済発展を遂げられるのであれば、赤字国債で予算を調達したらよいと考える。50年後に償還するときには、この異次元の少子化対策が成否は明らかになっているだろう。

もちろん、償還時には岸田首相も鬼籍に入っているだろうが、後世の歴史家は「昔、岸田という無能な政治家が赤字国債を発行して日本の再生を図ったが無惨に失敗して、借金だけが残った」ということになる公算は大きい。無能とはいえ、歴史に名前を刻めれば岸田首相としては本望だろう。

異次元の少子化対策というならば、それぐらいの覚悟を持ってやってほしいものである。

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