フランスで出産・子育てを経験した筆者が、身近な視点でフランスの子育て事情をレポートした新書。章立ては次のとおり。
第1章 男を2週間で父親にする
第2章 子供は「お腹を痛めて」産まなくてもいい
第3章 保育園には、連絡帳も運動会もない
第4章 ベビーシッターの進化形「母親アシスタント」
第5章 3歳からは全員、学校に行く
- 作者:髙崎 順子
- 発売日: 2016/10/14
- メディア: 新書
日本とフランスでは国柄や子育ての考え方はあまりにちがうので直接比較はできないだろうが、驚きの連続ですぐに読み終わった。日本に比べるのが憚られるほど手厚い支援策が運用されていることがよく分かる。
いちばんびっくりしたのはフランスでは無痛分娩が広く普及していること。聖書では「自分のお腹を痛めて産んだわが子に対する母親の愛がいかに大きなものであるか」を説いていた記憶があったので、宗教的にそれでいいのかと驚いた。
他にも日本でも採用できそうなことが紹介されていていたので、関係者は一読するといいだろう。
しかしタイトルの「フランスはどう少子化を克服したのか」という問いにはあまり答えていない。まず冒頭でフランスの出生率が回復した様子を示すグラフがほしかった。それがないと本当に「克服」したのかすらわからない。
加えて、この本で紹介されているのは筆者の体験談をベースにしているためマクロの視点に欠ける。上記のどの施策が効果を奏して出生率が回復したのか因果関係がまったく分からない。
もう少し政策的な視点な議論があるかと思って手に取ったが、その点はやや期待はずれだった。それでも未知の世界を覗き見るという好奇心は満たすことができたので、まあいいことにしよう。