退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】おおたとしまさ『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮新書、2018年)

教育ジャーナリストを標榜する筆者が名刺代わりのような本。商売柄、知人に会うと受験や進学についていろいろ相談されるので、一冊にまとめてみた、ということらしい。

受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実 (新潮新書)

受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実 (新潮新書)

子どもの受験が脳裏をかすめた人はとりあえず手にとってみるのがいいだろう。新書で読みやすいので、すぐに読み終えることができる。少なくとも漠然とした疑問や不安について、取っ掛かりができるのではないか。あとは個々のテーマについて深掘りをしていけばよい。

これだけ社会の変化が速くのだから、受験や進学についても親世代の常識がそのまま通用するわけもない。子どもの教育はかなりの投資であるし、腰を据えて取り組む価値はある。

タイトルにはる「12の現実」が示すように、本書は12章から構成されていて、それぞれで個別のテーマが解説されている。興味のある章だけ拾い読みしてみるのもいいかもしれない。

個人的に面白く読んだトピックは次の3つ。

  • 男女別学か共学か?(第8章)
  • 首都圏で中学受験文化が発展した理由(第9章)
  • ハンガリーで医学を学ぶ(第10章)

このなかでとくに興味深いのは「男女別学か共学化?」という議論だ。この本では、「男女別学校は学力が上がりやすく、ジェンダーバイアスも少ない」とまとめていて、それを裏付ける海外の研究結果も紹介されている。たしかに有力な中高一貫校は男女別学校が多いし、埼玉県では公立高でも伝統校は男女別学のままである。それでも男女別学校の数は急速に減少していて「絶滅危惧種」だという。

ちょっと惹かれるテーマである。さらに詳細を知りたい読者に向けて筆者の書作を紹介していてた。いずれ読んでみたい。

男子校という選択 日経プレミアシリーズ

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女子校という選択 日経プレミアシリーズ

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