退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】三浦瑠麗『孤独の意味も、女であることの味わいも』(新潮社、2019年)

この本を手にして思ったのは「分量が少ない本だな」ということ。たしかにページ数は少ないし、文字は大きめで分量は少ない。しかし読後、この本はこれでいいだろうと思った。内容が生々しくお腹いっぱいになったからだ。

孤独の意味も、女であることの味わいも

孤独の意味も、女であることの味わいも

この本を読む人は、メディアに登場する三浦さんに興味がある人が大半だろう。文化人枠にはこれまでいなかったキャラクターで、どことなくミステリアスな女性である。これまでどんな人生を歩んできたかという野次馬的な興味で本書を手にとった人も多いだろう。

私もその野次馬のひとりであるが、あまりの重い内容に怯んでしまった。短い章立てで時系列を前後させた、やや凝った構成になっているが、昔流行った「ケータイ小説」だと言われても、そのまま納得しそうにも思える。

内容については生々しいので細かく触れることは憚られるが、重い内容なので覚悟して読んでほしい。

それでも少しだけ内容について書いてみたい。湘南高校に進学してメガネを外したら持てたモテたとあった。さもありなんと思ったが、当時の写真を載せるぐらいのサービスがあってもいいだろう。女子高生時代の御姿を見たいと思った人は私だけではあるまい。

また個人的興味としては、大学受験や、東大での進振、大学院進学の話などにも言及してほしかった。夫となる男性と大学で知り合ったとうだけで十分なのかもしれないが……。

最後までよくわからなかったのは、この本を出そうと思った理由である。稿末で「私の愛する人たちのためにも、そして無数の私のためにも、書いておこうと思ったのだ」と結んでいる。わかるようでわからないが、ブランディングとして野心的な一冊とは言える。

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