退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ブレードランナー』(1982) / 近未来を舞台にしてSF風ハードボイルド映画

現在公開中の『ブレードランナー 2049』の予習のため、映画『ブレードランナー』(1982年、監督:リドリー・スコット)を久しぶりに鑑賞。色褪せないSFカルト映画。フィリップ・K・ディックSF小説アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(原題:Do Androids Dream of Electric Sheep?)を原作としている。今回見たのは「ファイナルカット」というバージョン。

本作は興行的には成功しなかかったが、2019年のロサンゼルスを舞台にリドリー・スコット監督は、環境破壊が進み酸性雨にさらされる「退廃した未来都市」という独自の世界観を生み出した。後のメディア作品に多大な影響を与えたSF映画の金字塔的作品。

遺伝子工学の発達により誕生した人造人間「レプリカント」たちが、人間の代わりに危険で過酷な労働を強いられていた。高度の知能を持ったレプリカントは長く生きると感情が芽生えて反逆するおそれがあることから、安全装置として寿命は4年間に設定されていた。

ある日、反逆した6人のレプリカントが地球に潜伏していることがわかる。主人公・デッカードハリソン・フォード)は、レプリカント処分の任務を担う特別捜査官(通称:ブレードランナー)を引退していたが、レプリカント狩りに協力させられる。潜伏中のレプリカントを次々に処分していくデッカードは、最後のひとりリーダーのパッティ(ルトガー・ハウアー)と激しい死闘を繰り広げる。


Blade Runner (1982) Official Trailer - Ridley Scott, Harrison Ford Movie

まあこんなストーリーだが、この映画はプロットの面白さよりアート映画として映像を愛でる映画だろう。これまでの明るい未来都市のイメージを一新した「退廃した猥雑とした未来都市」のイメージが素晴らしい。またなぜか日本語の看板が多数あるロサンゼルスの街並みがシュール。80年代の日本の勢いが感じられる。いまはすっかり凋落した日本との対比もいま思えば感慨深い。

あと名台詞が連発されることにも注目したい。まるでファーストガンダムのようだ。ぜひ英語で味わってほしい。寿司屋のおっちゃんの言う「2つで十分ですよ」は、もはや伝説。今回見たバージョンでは何が2つなのか分からなかったが、ネットで調べてみたらようやく何が2つなのかわかった。決して美味しそうなシロモノではなかったが長年の謎が解けてスッキリした。

よし、これで『ブレードランナー 2049』に向けての予習はバッチリだ。しかし海外レビュー見るとあまり評判はよくないので心配だが、今年見ておかなければならない映画のひとつである。それにしても本作の舞台となった2019年まで、あと2年とは……。ちょっと複雑な気分になる。