グーグルの囲碁ソフト「AlphaGo(アルファ碁)」と、韓国のプロ棋士、イ・セドル(Lee sedol)九段との五番勝負最終局が15日、ソウル市内で打たれ、アルファ碁が白番中押しで勝利しました。通算の対戦成績はイ・セドル九段の1勝4敗で、囲碁ソフトが圧勝しました。
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前評判ではイ・セドル九段が有利と見られていましたが、フタを開けてみるとアルファ碁の強さが目立ちました。いつの間にか優勢になっているのは、将棋ソフトがプロ棋士を負かす場面のデジャヴにも思えました。
Match 5 - Google DeepMind Challenge Match: Lee Sedol vs AlphaGo
今回の五番勝負では、第4局でイ・セドル九段がアルファ碁のバグ(?)を突いた形で勝ったのが印象に残ります。アルファ碁が明らかに無駄な手を連発してどんどん不利になっていく姿は「壊れたか?」と思ったものです。また第5局でもアルファ碁が右下隅の攻め合いで負けるなど、「あれあれ」という場面もあり、まだまだ完璧というわけではないようです。
しかしグーグルの目標は、最強の囲碁ソフトを開発することではありません。囲碁ソフトは人工知能開発の行程のなかの一里塚に過ぎないはずです。今回の結果は「囲碁でも人間のチャンピオンに勝った」と言っても文句のないものでしょうから、これ以上囲碁に固執する必要もないでしょう。
囲碁ファンとしては、もう一度ぐらい「人工知能 vs. 人類」を見てみたいですが、対局後の記者会見ではグーグル側は今後の予定は未定でイギリスに持ち帰って検討するとのことでした。
それにしても人工知能の進歩の速さには目を見張るものがあります。少し前には、囲碁は枝の数の多いゲームだから、人間を超えるソフトをつくることは簡単ではないと言われていましたが、あっという間に人類を凌駕しました。まさにブレークスルーです。
そうなると人工知能の次のブレークスルーは何でしょう。個人的に興味があるのは自然言語処理の進歩です。言い換えれば、人工知能が言葉を獲得する日がくるかということです。この分野でも深層学習を応用した研究が進んでいますが、道のりは長そうです。もっとも囲碁も少し前までは同じことを言っていましたが、意外と近い将来に実現してしまうのかもしれません。すごい世の中になってきました。
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