NHKで2015年に放送されたドラマ「紅白が生まれた日」をDVDで鑑賞。主演は松山ケンイチ。
終戦からわずか4か月後の1945年大晦日にNHKで「紅白歌合戦」の前身となった番組が放送された。その番組名は「紅白音楽試合」だった。この番組は復員後、GHQに接収されたNHKに復職した若いディレクター・新藤(松山ケンイチ)のアイデアと情熱によるものだった。新藤は同僚の光江(本田翼)とともに、「紅白歌合戦」の企画を立案するが、GHQからは「合戦」が不適切だとクレームが入る。GHQの検閲は想像以上きびしく、とりわけ日系人ジョージ馬淵(星野源)の不遜な態度は新藤たちを悩ませる……。
紅白歌合戦を題材しているだけにNHKにしかつくれないドラマであることはまちがいない。膨大な資料を考証したであろう美術は一見の価値はある。
当初企画されたタイトル「紅白歌合戦」はbattleだから検閲で却下されて、変更した「紅白音楽試合」はgameだから検閲をするという史実も興味深い。
出演者では松山ケンイチと本田翼のコンビがいい感じを出していて微笑ましい。ドラマの冒頭が後にふたりは結婚したことを示唆するように、年老いた光江が現代の紅白歌合戦をNHKホールまで見にくるシーンからドラマが始まるのも工夫が感じられる。また俳優ブレイク前の星野源がGHQの日系人米兵を演じていて不思議な味を出している点も注目したい。
紅白歌合戦は当時はラジオの生放送で、その放送シーンがドラマで再現されているは興味深い。DVDの特典映像として、ドラマではカットされていた、miwa「リンゴの唄」、大空祐飛「ポエマタンゴ」のフルバージョンが収録されていたのもよかった。ヅカ的には男装の麗人に扮した大空祐飛が勇姿が拝めて満足した。