2020年大晦日に放送された紅白歌合戦は、新型コロナウイルスの感染の拡大のため異例の様相を呈していた。
メイン会場のNHKホールは無観客となり、いくつかのスタジオも使いソーシャルディスタンスを守りながら開催された。いつものお祭り騒ぎの演出は抑えられ、まっとうな音楽番組のようなスタイルだったが好ましく思えた。
ようやく録画を見終わったので、今年も勝手にベスト3を挙げてみたい。
ブッダのように私は死んだ(坂本冬美)
坂本冬美の依頼に応えて桑田佳祐が楽曲を提供した作品。曲はぼんやり知っていたが、テレビで見て、あらためてぶっ飛んだ歌詞に呆れた。テキトーに作ったのではないかと思えるが、天下の桑田佳祐だからだれも文句は言えない。そんな一曲。
一応、坂本冬美を主人公に見立てたドラマ仕立てだそうだが、PVで映像付きで見るとしっくりするが、やはり変な歌である。紅白ではフツーのセットで歌っていたが、歌に合わせたドロドロした演出もできただろう。ちょっと残念だ。
一歩まちがえばコミックソングになりかねないが、ぎりぎりで成立しているのは坂本の歌唱力によるのだろうか。いいものを見せてもらいました。
Perfume Meldley 2020 (Perfume)
パフォーマンスもさることながら、インディーズ時代も含めて「結成20周年」と聞いてあらためてびっくり。その間、私は何をやっていたのかと反省させられる。
今回はプロジェクション・マッピングなどの先端技術を使わずに、シンプルな演出で原点回帰を思わせた。曲目は「Dream Fighter」「Baby crusing Love」「Time Warp」の3曲。初期の楽曲が懐かしい。
司会は「3人は変わらませんね」と評していたが、掟ポルシェのネット番組に出てた頃からは明らかに変貌を遂げている。
女性グループが長期間にわたり活躍することは難しい。彼女たちの出口戦略はどうなっているのだろうか。そんなことも気になった。
[Official Music Video] Perfume「Dream Fighter」
[Official Music Video] Perfume「Baby cruising Love」
[Official Music Video] Perfume 「Time Warp」
アニメ「鬼滅の刃」紅白SPメドレー(LiSA)
昨年はアニメ「鬼滅の刃」がのブームとなった。映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が邦画、洋画を合わせた歴代興行収入ランキングで「千と千尋の神隠し」(2001年)を超えて、1位となった。
映画は未見だが、映画好きとしては、なぜこのアニメ映画がこれほどヒットしたのかさっぱりわからない。コロナ禍の閉塞感と関係があるのだろうか。
年明けにTVアニメ「鬼滅の刃」を全話見直してみた。よくできた少年マンガのアニメ化という印象で、とくに突出しているようには思えなかった。個人的には「HUNTER×HUNTER」のほうが優れているような気がしたほどだ。
それでもヒットしたモノ勝ちというのがエンターテイメントの掟。LiSAが歌ったアニメソングもレコード大賞を受賞するなど大ヒットした。2020年を代表する楽曲と言えるだろう。私はTVアニメを見直したので、「紅蓮華」を何度聞いたかわからない。すっかり耳にタコになってしまった。
LiSA 『紅蓮華』 -MUSiC CLiP YouTube EDIT ver.-
LiSA 『炎』 -MUSiC CLiP-
番外編
この他に気になった演目を挙げてみる。GReeeeNとYOASOBIには意外性があった。
これまで正体を隠していた歯科医4人組のGReeeeNが顔出しで出演したのは「えっ」と思ったが、どのような心境の変化なのか。またYOASOBIが生出演していたが、生演奏できるのかとびっくりしたが、意外と歌が上手かったので二重に驚いた。
YOASOBI「夜に駆ける」 Official Music Video
2020年の紅白歌合戦がこれまでになかった演出が目立ったが、音楽組としてはなかなか面白かった。次回もこの流れを踏襲するのか、それとも元に戻るのかわからないが、NHKホールに観客がいっぱいになるような社会に戻ってほしいものだ。