声優の白石冬美さんの訃報が伝えられました。82歳。私の人生に大きな影響を与えたひとりだったのでショックでした。
白石さんは、アニメ「巨人の星」の星明子役や「機動戦士ガンダム」のミライ役など数々の当たり役を演じた声優として知られていますが、私にとっては「ラジオの人」でした。愛称は「チャコ」でした。
そう、野沢那智さんと組んでパーソナリティを担当したTBSラジオの深夜放送「パックインミュージック」の金曜日(木曜深夜)です。通称「ナチチャコ パック」「金パ」。「御題拝借」というコーナーが人気を博し、エンディングテーマは「シバの女王」でした。
1967年から1982年まで続いた長寿番組です。私が聞いたのは最後の数年間ですが録音して何度も聞いたものです。田舎に住んでいたしがない少年だった私にとっては、インターネットのない時代にラジオは社会の窓でした。自分の部屋ではテレビは許されていませんでした。
当時、私の地元の唯一のラジオ局では深夜放送の時間帯はTBSラジオをネットしていたため、ニッポン放送のオールナイトニッポンより、パックインミュージックをよく聞いていました。
地元ラジオ局によるローカル番組を含めて、いくつかお気に入りのラジオ番組がありましたが、いちばん好きだったのが「ナチチャコ パック」でした。パックインミュージックなどの在京キー局の番組を通して、東京の情報に耳をそばだていました。ラジオ番組に触発されたこともあり、大学進学時に上京することにしました。
いま冷静に考えればラジオで大学決めるなんて、バカじゃないのかとも思いますが、まあ若気の至りというところでしょう。もちろん自分なりにキャリアパスも考えていましたが……。地元の駅弁大学に進むのが親孝行だったのでしょうが、支援してくれた両親にいまだに感謝です。
最近、若いころに影響を受けた人たちが次々に鬼籍に入っています。自然の摂理とはいえ、私も年をとったということでしょう。