先日「ショーケン」こと萩原健一さんの訃報が報じられた。68歳だった。
ミュージシャンとしては、グループサウンズ(死語?)の「ザ・テンプターズ」のボーカルとしてデビューした後、「神様お願い!」「エメラルドの伝説」などのヒットを飛ばして注目を集めた。
私はグループサウンズの世代ではないが、60年代から80年代にかけての大衆音楽に興味があり、グループサウンズについてもマイナーなグループを含めて様々な音源をこっそり聞いて悦に入っている。「神様お願い!」で示されたように、「他力本願」がグループサウンズの時代のひとつの特徴だろう。それをもっとも体現していたのが、ザ・テンプターズだろう。そのことについてはいずれ深掘りしたい。
個人的には、萩原健一といえば歌手より俳優としての活躍を思い出す。映画に限っても、ユニークな俳優として映画『約束』(1972年)を皮切りに、数々の出演作を遺している。
いずれ名画座でも追悼企画が組まれるだろうが、私的に3つほどオススメの出演作を挙げて追悼したいと思う。
約束 (1972年)
昨年末に映画館で見直したばかりであり、まだ印象に残っているのでまずこれを取り上げたい。和製クロード・ルルーシュの異名をとった斎藤耕一の名作。古いフランス映画を彷彿とさせる作品。ショーケンの映画デビュー作。
ショーケンは強盗犯の軽薄なチンピラ役で、列車のなかで偶然で出会った女(岸恵子)に恋をするが、彼女は監視付きで外出を許された受刑者だった。束の間の愛に浸るふたりに別れのときがきて、再開を約束するが……。
ショーケンは、いかにも年上の女性に持てそうな軽薄ながらも決して憎めない男を好演している。
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青春の蹉跌 (1974年)
ロマンポルノ出身の神代辰巳監督による初の一般映画作品。原作は石川達三。主演は萩原健一。桃井かおりとの共演も記憶に残る。
ショーケンは名門大学の法学部生。在学中に司法試験に合格して、裕福な伯父の娘(檀ふみ)との婚約も決まり、将来が約束されるかに思われた。しかし家庭教師の生徒(桃井かおり)を妊娠させてしまい、始末に困ったショーケンは桃井を殺害してしまうが……。
多くは書かないが、ラストでの衝撃的シーンは効果音とともに強く印象に残る。ネタバレなしで一度見てほしい作品だが、なぜかDVDが出ていない模様。ショーケンはカッコいい、桃井かおりと檀ふみの対比も面白い。機会があれば是非鑑賞されたし。
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226 (1989年)
五社英雄監督が、二・二六事件を陸軍将校の視点から描いた作品。ショーケンは決起将校のひとり野中四郎大尉を演じている。ちなみに決起将校には、三浦友和、本木雅弘、佐野史郎、竹中直人などが名を連ねていて、なかなか豪華な布陣である。
しかし決起将校の家族がいちいち登場して将校たちの人物描写が始まるものだからが、途中で飽きてくるなど映画としては不出来である。笠原和夫が脚本を担当してどうしてこうなったのか不思議だ。それでも将校姿のショーケンは凛々しくて心に残っているし、声がひっくり返る演技もが印象的だった。
まあ映画を楽しむというより、ショーケンを愛でるためにみるならばオススメできる一本である。
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