退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『極道の妻たち 三代目姐』(1989) / 「極妻」シリーズ第3作

新文芸坐の《追悼・萩原健一 銀幕の反逆児に、別れの“ララバイ”を》で、映画『極道の妻たち 三代目姐』(1989年、監督:降旗康男)を鑑賞。五社英雄監督が岩下志麻主演で撮った東映ヤクザ映画『極道の妻たち』(1986年)が人気を博し、監督や出演者を替えながらシリーズ化された。本作は三田佳子主演のシリーズ第3作。

暴力団の大物組長だった夫(丹波哲郎)の亡き後、跡目相続をめぐる内部抗争の渦中で苦悩する姐さん・葉月(三田佳子)は、野心をむき出しにする寺田(成田三樹夫)に対抗して、組長夫婦が我が子のように可愛がっていた若頭補佐・赤松(萩原健一)をバックアップするが……。


極道の妻たち 三代目姐(予告編)

大物組長の妻「姐さん」と赤松を愛する「女」という2つの立場を演じ分けた三田佳子の役者魂はさすが。とくに赤松の死後、霊安室で見せた演技は貫禄十分。たしかに悪くないが、「極妻」のなかでは岩下志麻と比べられてしまうと分が悪いかも……。葉月は宝塚歌劇団出身という設定で、加茂さくらも出演している。とりまきに歌をせがまれるが結局歌わなかったのは残念。

ショーケンは若頭補佐役で、三田佳子とかたせ梨乃に想いを寄せられるという美味しい役どころ。男の魅力をばんばんに発散しているが、彼の関西弁はどうもちがうのではないかと終始気になった。ネイティブの方の意見を聞きたいところ。またショーケンの死に際は壮絶でちょっとかっこいい。

この映画で見逃せないのは、ショーケンがムラムラして吉川十和子をレイプまがいに抱いたあと彼女が全裸で台所に立つシーン。よく降旗康男にこうしたシーンが撮れたものだと感心した。この映画最大の見せ場。これがバレてかたせ梨乃が嫉妬で激昂する場面も見もの。

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映画『極道の妻たち 三代目姐』/吉川十和子萩原健一

そして晩年の成田三樹夫も勇姿も見逃せない。ショーケンと対立する組の幹部役だが存在感がある。成田のおかげでなんとか最後までみれると言っても過言ではない。

今回ひさしぶりに「極道の妻たち」シリーズを見たが、どうしてこれほどヒットしたのかわからないというのが本音です。

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