新文芸坐の《追悼・萩原健一 銀幕の反逆児に、別れの“ララバイ”を》で、映画『ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを』(1969年、監督:内川清一郎)を鑑賞。ザ・テンプターズ唯一の主演映画。ショーケンは鳩を飼い、母親(新珠三千代)の再婚話に悩む高校生役を好演。
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おっさんを自認する私もさすがにテンプターズをリアルタイムで知る世代ではないが、当時グループ・サウンズ(これも死語か)を呼ばれる謎の現象が日本の音楽シーンを席巻し、ザ・テンプターズ(萩原健一・松崎由治・大口広司・田中俊夫・高久昇)はその代表的バンドのひとつだった。当日の映画館には当時ファンだったのだろうという世代の女性客も散見できた。
タイトルにある「涙のあとに微笑みを」というのは、テンプターズの5枚目のシングル「純愛」のB面に収録された楽曲名でもある。本作ではこの曲を含めてテンプターズのヒット曲を堪能できるほか、学園祭のものまねコンクールのシーンで今陽子に扮して「恋の季節」をカヴァーするレアなショーケンの姿を見ることができる。
いわゆるアイドル映画なので映画としては観るべきものはとくにないが、当時スタイリッシュだと思われていた風俗をチェックするのは一興。またショーケンといえばテンプターズ時代を外せない。初々しい甘えん坊キャラクターに、後に俳優として大輪を咲かせる彼の才能の片鱗を垣間見ることができる。ショーケンの追悼にふさわしい一本。
なお当日の上映フィルムは褪色がひどく残念だった。デジタル素材でもよいので鮮やかな映像で見たかった。