退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『めまい』(1971) / 辺見マリ主演のアイドル映画

新文芸坐の《追悼・萩原健一 銀幕の反逆児に、別れの“ララバイ”を》で、映画『めまい』(1971年、監督:斎藤耕一)を鑑賞。ヒッチコックVertigoとはまったく関係ない、辺見マリ主演のアイドル映画。映画タイトルは辺見の4枚目のシングル曲から。

范文雀 辺見マリ 萩原健一『めまい』ポスター

高校時代、セクシーな中沢真里(辺見マリ)に熱を上げる3人の幼なじみ(萩原健一森次晃嗣ジャイアント吉田)は「不可侵条約」を結び、互いに抜け駆けをしないように約束していた。真里は上京してスター歌手として成功し、やがて帰郷することになる。この4人に加え、美人姉妹(范文雀、小川ひろみ)が絡み、複雑な恋模様が展開する、という青春映画。

尺が短いにもかかわらず登場人物が多く、最後は無理やりにまとめた印象があるが、テンポがよく悪くない。ショーケンは実家の自動車工場を手伝いならがレーサーを目指すが上手くいかないという若者を演じていて、自動車事故をきっかけに范文雀と結ばれる役どころ。他の登場人物も次々にカップルができめでたしめでたしという次第。

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映画『めまい』(1971) /萩原健一范文雀

舞台がもっぱら故郷なので、主演の辺見マリは記録映像で芸能活動が紹介される程度で終盤まであまり出番がない。主演がこれでいいのかと思ったが、帰郷後の凱旋コンサートに出演して歌を披露してなんとか面目を保っている。

個人的には、ストレートのロングヘアに濃い顔に弱いということもあるが、ショーケンの相手役の范文雀に惹かれる。いま見てもなかなかカッコいい。ほかの出演者では神父役のジャイアント吉田がいい味を出している。

上映機会の少ない作品だろうがなかなか楽しめた。ショーケンが、映画『約束』(1972年)で監督を務めた斎藤耕一監督と出会った作品として記憶されるだろう。

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