退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『花のお江戸の釣りバカ日誌』(1998) / 幕末に舞台を移したシリーズ特別編

DVDで映画『花のお江戸の釣りバカ日誌』(1988年、監督:栗山富夫)を鑑賞。シリーズ第12作。現代の建設会社を描いたシリーズ本編から離れ、幕末の江戸と庄内藩を舞台にして登場人物の先祖たちが活躍する特別編。

花のお江戸の釣りバカ日誌 [DVD]

花のお江戸の釣りバカ日誌 [DVD]

  • 発売日: 2013/08/28
  • メディア: DVD

釣り好きが嵩じて禄を失い江戸で浪人暮らしをしている浜崎(西田敏行)は、ある日偶然出会った大店の隠居だという鈴木(三國連太郎)に出会い、釣り指南をしたことからすっかり意気投合する。ところが鈴木は実は庄内藩江戸家老だった。仕官先を探していた浜崎は偶然、庄内藩江戸屋敷に「就活」に赴くがそこで鈴木の目に止まり仕官が決まる。その後、ふたりは庄内藩の権力抗争に巻き込まれ……。


花のお江戸の釣りバカ日誌

マンネリ化した本編を離れて、時代劇にアレンジした着想は見事というしかない。サスペンス調でもあり素直に面白い。

松竹の沽券に関わると思ったのか、時代劇が安くっぽくなくのは美点。美術、衣装、撮影などが、それぞれいい仕事をしていて作品に風格すら感じられる。美術監督に巨匠・西岡善信が参加していたと知り納得した。

マドンナは奥女中役の黒木瞳。豪華な衣装を纏った姿は可憐で美しく絵になる。本編では浜田は妻帯者だが本作では未婚で、最後に黒木が結ばれるのは特別編ならでは設定である。

他には西田の妹役に酒井法子が配されているのにも注目したい。最初、歳から言えば娘かと思ったが妹だというからびっくり。この頃の“のりピー”は可愛かったなと妙に懐かしかった

しかし時代劇になってもギャグセンスは相変わらずで、最後に西田と黒木が「合体」するあたりは鼻白んでしまう。まあ、このシリーズはこれでいいのだろう。