新文芸坐で映画『前田建設ファンタジー営業部』(2020年、監督:英勉)を鑑賞。目当てだった映画『星屑の町』との併映だったの期待しないで見た。
昭和アニメ「マジンガーZ」の光子力研究所格納庫兼プール建設に本気で取り組んだサラリーマンたちの熱き物語。脚本は上田誠、主演は高杉真宙。
前田建設工業で実在する企業PRのためのプロジェクト「ファンタジー営業部」では、SF・アニメ作品などに登場する土木施設をできるだけ作品世界を大切にしながら、実際の土木技術を駆使しながら、工事費や工期の見積りを行いネットで公開している。本作はこの実写映画化。取り上げた案件は、マジンガーZ」の光子力研究所格納庫兼プール。
バカバカしいことを真面目にやるサラリーマンたちにどれだけ共感できるかが鍵だろうか。なんとなく小劇場の演劇みたいなノリのオーバーなパフォーマンスについていければ楽しめるのではないか。
まあ正直、私は「映画でやらなくていいじゃないの?」と思ったが、(脳内で)完成した格納庫でマジンガーZが発進する場面の効果音の低音でしびれた。映画館で見てよかった。
難点と言えば、企業内のいろいろややこしいところが十分に描けてないところ。もっと人間関係はギスギスしているだろうし、部署間の軋轢もありそうだが……。そういうことが一切切り捨ている。それはそれで本作のトーンに合っているのだが、企業を舞台にしている映画としては物足りない。
出演者ではプロジェクトの紅一点に岸井ゆきが配役されているのはナイス。もっとヒロイン然とした女優さんを当てることもできだろうがキャスティングが冴えていた。