退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『星屑の町』(2020) / 昭和歌謡とのんのマリアージュ

新文芸坐で映画『星屑の町』(2020年、監督:杉山泰一)を鑑賞。気になっていた作品だったのでひさしぶりに映画館に出かける。

水谷龍二ラサール石井小宮孝泰らにより長きにわたり上演された、売れない昭和歌謡グループ「山田修とハローナイツ」の悲哀を描いたい舞台「星屑の町」シリーズをベースにした作品。

星屑の町 [DVD]

星屑の町 [DVD]

  • 発売日: 2020/09/09
  • メディア: DVD

東北の小さな町に売れない昭和歌謡グループ「山田修とハローナイツ」が興行にやってくる。その町はリーダー・山田修(小宮孝泰)の故郷だった。ハーローナイツ(大平サブローラサール石井、渡辺哲、でんでん、有薗芳記)はボーカル以外は素人同然だが、衝突をしながらもなんとかやってきた。この町では山田の弟・英二(菅原大吉)が家を継いでいて、兄との間に確執を抱えていた。英二の息子の友人・愛(のん)は歌手を目指していて、スナックでグループ入りを希望したことから騒動が始まる……。


のんがヒロイン!『星屑の町』予告編

おっさん男優たちがいい味を出していて、さすがベテランという貫禄を見せてくれる。芸人たちは素のままかなとも思うが、これも愛嬌だろう。安心して芝居を楽しめる。

この映画の肝は、やはり「のん」の魅力だろう。「あまちゃん」以来の東北弁が懐かしいし、昭和歌謡との相性もよかった。弾き語りで唄う「新宿の女」は必見。

ほかにはベテランの前座歌手を演じた戸田恵子の歌唱も素晴らしい。彼女うは歌手として下積み時代を過ごしたことよく知られているが、さすがに上手い。楽屋でメイクしながらの芝居もよかった。

ストーリーは、舞台からのエピソードの引用が多いのだろうか、やや駆け足なところが気になったが、映画の尺では仕方ないのかもしれない。願わくば、のんが歌手として大成していくプロセスをじっくり描いてほしかった。

f:id:goldensnail:20200920095930j:plain

余談だが、映画のなかで披露された昭和歌謡のカバー曲の音源がほしいと思った。サントラ盤は発売されているが、肝心のカバー曲は収録されていないようだ。音源があるのかわからないが是非お願いします。

映画「星屑の町」オリジナル・サウンドトラック

映画「星屑の町」オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト:宮原慶太
  • 発売日: 2020/03/11
  • メディア: CD

f:id:goldensnail:20200920095925j:plain