西郷輝彦さんが、都内の病院で亡くなったことが伝えられた。75歳。
西郷輝彦さんは、橋幸夫・舟木一夫とともに「御三家」と呼ばれ、歌手としては「星のフラメンコ」(1966年)などのヒット曲を飛ばした。その後、俳優として活動して数々の映画やテレビドラマに出演した。
私が時代劇が好きなせいもあるが、西郷輝彦さんと言えば時代劇の印象がつよい。TBS「ナショナル劇場」の枠で放送された「江戸を斬る」(第2部 - 第6部)での遠山金四郎役がまず思い出される。私は松坂慶子が演じていたヒロイン「紫頭巾」を目当てに見ていたわけだが……。西郷輝彦さんは、主題歌「ねがい」(作詞:山上路夫、作曲:いずみたく)を歌っていて、いま聞いてもカッコいい。
また映画では、萬屋錦之介主演『柳生一族の陰謀』(1978年、監督:深作欣二)で演じた徳川忠長役が思い出深い。徳川家光(松方弘樹)との権力闘争に敗れて自害する役回りだが、吃音で顔にアザのある家光と、ハンサムで聡明である忠長との対比が際立っていて面白かった。忠長を慕う出雲の阿国(大原麗子)も美しかった。
私自身は、御三家といわれてもリアルタイムでは知らないしピンとこない。むしろ70年代に歌謡界を席巻した「新御三家」(郷ひろみ・西城秀樹・野口五郎の3人)がギリギリ知っている世代である。
なので歌手としての西郷輝彦さんはよく知らないのだが、のちに筒美京平に傾倒して、筒美の楽曲をいろいろ聞いていたときに、「自由の鐘」(作詞:ちあき哲也、作曲・編曲:筒美京平、1971年)という曲を見つけていいなと思ったことがある。一聴あれ。
こうして思い出をつらつらと書いていると当時の関係者の多くが他界していることに気がつく。いよいよ昭和が遠くなった。