先日NHKで放送された「ミュージック・ポートレイト『秋元康×黒木瞳』」という番組で、秋元康が〈人生の最期に聞きたい曲〉に加山雄三「旅人よ」(作詞:岩谷時子、作曲:加山雄三)を選んだの見たのがきっかけ。
一度ちゃんと聞いてみようと、この楽曲が収録されているCDを適当に選んだが、届いたのが下の洒落たタイトルの作曲家・岩谷時子の作品集だった。
CDを聞いてびっくり。私の好きな曲のオンパレード。私がツツミスト(筒美京平のファン)であるせいか収録されていた曲はほぼ知っていたが、このすべてが岩谷時子の作品だったことに驚いた。なんとなく作品にヅカの香りが感じられるというと深読みしすぎだろうか。
岩谷時子が、宝塚歌劇団の職員を経て越路吹雪のマネージャーをしながら訳詞を手がけていたことは知っていたが、これほどのヒットメーカーであることは今回初めて知った。「サン・トワ・マミー」や「愛の讃歌」などの越路吹雪のヒット曲に加えて、加山雄三、ザ・ピーナッツ、園まり、ピンキーとキラーズなどに楽曲を提供している。筒美京平とのコンビによる曲もかなりあるようだ。
歌謡曲の作詞に加えてミュージカルの訳詞にも足跡を残している。ミュージカル「レ・ミゼラブル」の劇中でファンティーヌが歌う「夢やぶれて I DREAMED A DREAM」は彼女の代表曲であり、このCDには岩崎宏美の歌唱によるバージョンが収録されている。
後年、岩谷はミュージカル「ミス・サイゴン」のきっかけに出会い本田美奈子を出逢い、終生交友があったという。このCDにも本田美奈子が歌う「つばさ」「アメイジング・グレイス」が収録されている。
岩谷時子は長寿をまっとうしたが、年下の越路吹雪と本田美奈子に相次いて先立たれどのような心境だったのだろう。CDを聞きながらそんなことをぼんやりと思ってみた。
余談だが、岩谷時子の作品集がCD1枚とは少ないと思ったが、2枚組のアルバムも発売されていた。曲目リスト見ると今回のアルバムを重複してたり、オリジナルの歌手でなかったりしてイマイチかなと。レコード会社を超えた究極の作品集がほしいところ。