退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

朝ドラ「エール」見終わりました

朝ドラ「エール」は、2020年度前期放送のNHK連続テレビ小説」第102作。昭和を代表する作曲家・古関裕而と、その妻・金子をモデルの生涯を描く。主演は窪田正孝、ヒロインは二階堂ふみ

昭和の歌謡史を題材にした作品であり期待していたが、コロナ禍のなか異例ずくめの作品となった。小山田耕三役の志村けんが出番を残し3月に死去したほか、収録が一時休止になり放送のストックもなくなり途中から再放送となった。当初予定の全130回(26週)から全120回(24週)へ10回(2週)分を短縮されたため、終盤は駆け足となり見ていて混乱した。

加えて、昭和の東京オリンピック開会式の「オリンピック・マーチ」の作曲者が主人公のドラマということもあり、今年夏に開催予定だった東京オリンピックとのシナジー効果が期待されたが、ご存知のとおり五輪は無情にも延期されてしまい、当初のねらいは大きく外れることになった。やれやれ。

再放送の期間は見ていなかったので、放送が再開されたとき気持ちが追いつくまで時間が必要だった。それでもビルマに従軍するあたりの戦争シーンは迫力は近年の朝ドラに見られない迫力があった。この間オープニングテーマが割愛されていたのも印象的だった。

戦後、戦意高揚のための戦争歌謡をつくり続けていたため戦争協力者の烙印を押された主人公が悩む場面はよくできていたが、作詞家など他の文化人たちがGHQに摘発されるあたりもきちんと描いてほしかった。

実在のモデルがいるので、めちゃくちゃな話にはできないだろうが、もう少しエンターテイメントに振ってもよかったのではないか。多くのミュージカル俳優が配役されていたので、例えばミュージカル仕立てにする週があったもよかっただろう。歌のガチ勢が出演しているのに劇中であまり歌わないなんてもったいない。ごく個人的には、劇団四季だけじゃなくて宝塚歌劇団OGも出てほしかったが……。

最終回がコンサートだったのも異例だった。わずか15分ではもったいない。実はもっと映像があって、1時間ぐらいの特別編があるのではと期待してしまう。コンサートのトリは二階堂ふみで、錚々たるプロの歌手を引き連れての歌唱だった。劇中でも思ったことだが歌えてない。公開処刑かと思った。若い頃の純名里沙で見たかった。

エール メモリアルブック(ステラMOOK)