退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『南太平洋の若大将』(1967) / 加山雄三主演「若大将シリーズ」の第10弾

新文芸坐で《名画座かんぺ10周年ご褒美企画 のむみちpresents 没後50年 飯田蝶子“婆優”一代》という企画で、映画『南太平洋の若大将』(1967年、監督:古沢憲吾)を鑑賞。加山雄三主演「若大将シリーズ」の第10弾。マドンナは星由里子。当日は若大将二本立て。

飯田蝶子特集というのがシブすぎる。飯田は「若大将シリーズ」では、主人公・雄一の祖母としてレジュラー出演した。本作では「河太郎」踊りを披露して芸達者ぶりを発揮している。名画座ならではのナイスは企画。

日本水産大学に通う田沼雄一(加山雄三)は、練習航海で立ち寄ったハワイでスチュワーデス(死語)の澄子(星由里子)と知り合い良い、さっそくいい仲になる。ところが、青大将(田中邦衛)の横恋慕のせいで、澄子は「タヒチで地上勤務になった」とウソの手紙を書いて雄一のもとを去る。雄一と若大将に好意を抱く「京屋」の娘・美奈子(前田美波里)の二人は慌ててタヒチに向かうが……。

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ハワイ、タヒチでのロケーションが豪華。ハワイといえば、すでにシリーズ第4作『ハワイの若大将』(1963年)でやったよねと思いながら見ていると、途中からタヒチに飛び、やっと「南太平洋」が舞台となる。タヒチではダイビングの海中撮影が新鮮。また前田美波里がグラマーな肢体を披露するばかりか、ソロの歌唱シーンもあり見せ場が多い。

南の島で、若大将に好意を寄せるグラマーな前田美波里に迫られたら、さしもの若大将も「据え膳食わぬは男の恥」となるところだが、そうした気配を微塵も見せないところが若大将。爽やかデス。

日本に帰国後、若大将は柔道部主将として大活躍。日本武道館を借り切って撮影したという柔道大会のシーンは見ごたえあり。最後は外人選手を見事倒してハッピーエンドといういつものパターン。

このような能天気な東宝映画に熱狂していた当時の日本。上り調子でうらやましくも思えた。

余談だが、当時の映画ポスターは若大将が民族衣装で酋長のような扮装をしているが、さすがにこれはマズいということなったのか、DVDでは大人しいジャケットデザインになっている。ちょっと面白い。

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