退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『若草物語』(1964) / 日活の四大女優による青春映画

録画してあった日活映画『若草物語』(1964年、監督:森永健次郎)を鑑賞。四人姉妹の物語であるが、ルイザ・メイ・オルコットの小説とは直接関係ない。当時の日活の誇る四大女優の競演で描く青春物語。

若い後妻をむかえた父親(伊藤雄之助)に気兼ねして、娘の由紀(浅丘ルリ子)、しずか(吉永小百合)、チエコ(和泉雅子)は、大阪の実家から東京で暮らす長姉・早苗(芦川いづみ)の嫁ぎ先に家出する。やがてアパート暮らしを始めた3姉妹は、幼なじみで報道カメラマンの次郎(浜田光夫)や資産家のボンボン(和田浩治)と出会う。高度成長期の東京を舞台に美人四姉妹に起こるさまざまな出来事を描く青春映画。


若草物語【予告編】

当時の日活が誇る四大女優が競演していていて満足度は高い。大阪から出てきた姉妹が終始、大阪弁で演じているのもポイント。ネイティブの関西人にはどう響くのかわからないが、なかなかキュートに聞こえる。

長女役の芦川いづみが色気ムンムンなのだが、既に結婚していて出番が少ないのはやや残念。浅丘ルリ子吉永小百合は初々しいが、後年の美貌はまだ感じられず、どことなく垢抜けていない。意外だったのは末妹役の和泉雅子のコメディアンヌぶり。私などは冒険家として北極点到達したあたりからしか記憶がないが、こんな役者だったとは発見だった。

この映画の最大の見どころは、高度成長期の東京の風景をフィルムに残していることだろう。すでに半世紀以上前の東京だが、ロケ地がわかるシーンもあるし、こんな建築物あったかなと思うシーンもある。当時の観客にとっての憧れだった東京が描けているのは評価したい。

物語は相手を変えながら他愛のない恋愛がつづいてやや退屈。それでもボンボン役の和田浩治浅丘ルリ子にプロポーズするシーンで、ボンボンが高価そうな調度品を次々に壊していくあたりは盛り上がる。結局、ルリ子は年下のボンボンと婚約して、ラストで婚約旅行に出かける。「そんな男でいいのかよ!?」と思ったが、結局世の中カネかよと思った次第。

一方、吉永小百合は瀬戸内に旅立った浜田光夫を追いかける。一途な姿は吉永のイメージにぴったりのエンディングである。ルリ子と吉永の対比がよく描けていて面白い。

総じてプログラムピクチャーとしてよくできていて満足度は高い。

若草物語