BS朝日で再放送されていたテレビドラマ「ガラスの仮面」を見終わりました。半年ぐらいつきあったことになります。長かった。このドラマは1997年に第1シリーズ、1998年に第2シリーズが放送されました。全23話。主演は安達祐実。
もちろん原作は美内すずえによる少女漫画の金字塔。当時エンディングを見て、原作が完結してないから仕方ないかなぁ、と思ったものでした。まさか令和になっても完結してないとは……。
いまもむかしもコミックを実写化して成功するのは難しい。本作は、ノスタルジー半分にしてもなかなかいい線いっています。
配役は、主役の北島マヤ役は安達祐実。そして恋のお相手の速水真澄役を田辺誠一、マヤのライバルの姫川亜弓役を松本恵が演じています。さすがにみんな若い。
最終回はこんな話です。
踏切でマヤ(安達祐実)が速水(田辺誠一)に告白される場面から始まります。突然の告白に混乱したマヤは月影先生(野際陽子)に相談に行きますが、「すべての経験は紅天女に結びつく」とテキトーなことを言われます。この言葉に励まされたマヤは発奮して、演劇「忘れられた荒野」のオオカミ少女の役に臨みます。
ついに初日を迎えますがあいにくの台風が東京を直撃。上演が危ぶまれしたが、速水だけがずぶぬれになりながらも観客として劇場に表れます。速水ひとりのために舞台の幕が上がります。その後、上演を重ねてマヤの演技は好評を博して高い評価を得ます。
そして「紅天女」の主役候補を懸けた演劇賞の授賞式。演技賞はライバルの姫川亜弓(松本恵)が受賞するものの、マヤも特別賞を受賞して、なんとか紅天女への可能性をつなぎとめます。
トロフィーを持って帰宅すると、いつものように「紫のバラの人」から花束が届いていました。しかし、それに添えられていたメッセージは初日を見た人だけが知っている内容でした。マヤは「紫のバラの人」が速水だと気づいて愕然とします。
そしてそれぞれの思いを抱えながら、マヤは「紅天女」を目指して役者としてさらなる研鑽を積むために再出発します。どこかの田舎道をひとりで歩いていくというシーンでエンディングとなります。
エンドロールでは、これまでの劇中劇のシーンが流れたのはよかったですね。ラストはクランクアップして花束をもらった安達のストップモーション映像でした。
まあ原作が完結してないので、「紅天女」にこれ以上言及することはできないのは仕方ありません。それでも最終回ではマヤと月影先生の師弟関係をもう少ししっかり描いてほしかったですね。月影先生がいつのまにかどこかに行ってしまったのが不満。
それでもなかなか楽しめました。とくに劇中劇がそれなりにちゃんとしていたのが奏功していたように思います。
さてかなり昔のドラマなので、すでに物故された出演者もいました。個人的には、月影先生役の野際陽子、そして速水の秘書・水城冴子役の戸川京子が印象に残っています。とく野際陽子の演じた月影先生は絶品。何度も舞台化されている作品ですが、この造形はその後のお手本になったのではないでしょうか。また戸川さんが演じたのは感情を外に出さないクールな秘書役なので、笑っているシーンは少なかったのですが、最終回でちょっと笑っている場面がよかった。
余談ですが、2017年秋に松屋銀座で開催された「ガラスの仮面」展で美内すずえ先生のインタビュー映像の上映がありました。そのなかで「決してラストをあきらめたわけではありません」とおっしゃていましたが、ドラマのラストを見ながら、原作は本当に完結するのかなと思った次第です。