退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

清水玲子の『秘密 -トップ・シークレット-』読了しました!

知人に勧められた、コミック『秘密 -トップ・シークレット-』(全12巻)をようやく読み終わった。読書メモを見ると読み始めたのは昨年の夏。1冊ずつ借り出して読んでいたが、不届き者が止めていたせいで時間がかかってしまった。ぷんぷん。

秘密―トップ・シークレット (1) (Jets comics (234))

秘密―トップ・シークレット (1) (Jets comics (234))

  • 作者:清水 玲子
  • 発売日: 2001/12/01
  • メディア: コミック

この作品は清水玲子による近未来の日本を舞台にしたSFサスペンス。警察官を主役している。死者の脳から記憶を映像して再現することができる架空の「MRI捜査」という科学捜査を駆使して、難事件を捜査する「科学警察研究所 法医第九研究室」(通称「第九」)の活躍を描く。

死者の脳を映像化する科学捜査というアイデアがユニーク。これを下敷きに様々な事件を解決していきながら登場人物を深く描いていく。ちょっとBLっぽいところあるが、時代を先取りしていたのだろうか。長編だが本当によくできていて読み応えがある。サスペンスとしても十分に面白い。数々の伏線が最終巻でちゃんと回収されているのも見事。

秘密(トップ・シークレット) コミック 全12巻 完結セット (ジェッツコミックス)

ただし、ちょっと気になったところもある。物語の設定は2060年の日本が舞台だが、MRI捜査が実用化している以外はほとんど現代日本と変わらない点である。これほどのイノベーションが起こっていれば、他の分野のテクノロジー、さらには社会の成り立ち自体が変容していてもおかしくない。

にもかかわらず、警察は相変わらずの官僚機構だし、小道具の自動車や携帯電話もまるで進歩がない。時代考証が面倒だったのかしらん。

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読み終わったあと「これは映画化決定だ」と思ったが、すでに 生田斗真主演で実写映画化されていた。映画は未見だが、コミックで緻密に構築された世界観をそのまま実写で表現するには難しいなと思った。どんな映画なのか興味のあるところだ。


「秘密 THE TOP SECRET」予告篇