退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『女秘密調査員 唇に賭けろ』(1970) / 江波杏子主演のテレビ輸出をめぐる産業スパイ映画

新文芸坐の《魅惑のクールビューティ 追悼 江波杏子》で映画『女秘密調査員 唇の賭けろ』(1970年、監督: 村山三男)を鑑賞。大映「黒シリーズ」の系譜に連なる大映得意の産業スパイ映画だが、さすがにこの時期の作品になると、いろいろしょぼくて大映末期の哀愁が漂う。

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「女賭博師シリーズ」で知られる江波のモダンな装いも見たいというファンの要望に応えるかのような大映時代の二本立て。どちらも典型的なプログラムピクチャーでこのような追悼企画でなければ上映される機会のないような作品だろうが、どちらも退色していたのは惜しい。

江波はテレビ輸出をめぐりライバル会社の動向をさぐるように依頼された調査グループの一員。盗聴や潜入などあらゆる手口を使う情報戦を戦う。隣のビルからロープを使って忍者のように忍び込んだり、ライバル会社のレズビアンの女秘書を色仕掛けで籠絡したり、何でもありだ。

ボーリングでわざとガーターを出すシーンがあざとくて笑えるし、露出は少ないが入浴シーンのサービスも見逃せない。クールビューティーと謳われた江波の魅力を堪能できる。

江波杏子藤巻潤『唇に賭けろ』立看

劇中に壁掛けできる薄型テレビ(ブラウン管テレビだけど)という画期的なテレビの新製品RXが登場する。世界市場を席巻できると触れ込みだったが、すでに液晶テレビで実用化されていることを思うと、時代の流れと科学技術の進歩の速さを感じる。

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