退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『女殺し屋 牝犬』(1969) / 江波杏子が女殺し屋に扮した復讐譚

新文芸坐の《魅惑のクールビューティ 追悼 江波杏子》で映画『女殺し屋 牝犬』(1969年、監督:井上芳夫)を鑑賞。併映作で女スパイを見たあとは女殺し屋役。普通のヒロイン役はないんかい、と言いたくなるが仕方ない。市川雷蔵の『ある殺し屋の鍵』(1967年)の焼き直しか。

和風スナックのママ・香代(江波杏子)の裏の稼業は凄腕の殺し屋だった。殺しの依頼を受けて香代は、金融王・石塚(石山健二郎)をホテルのプールで暗殺するが、逆に依頼主から命を狙われる。怒りに燃えた香代は、依頼ルートを逆にたどり、安部(高橋昌也)に行き着くが、さらに上に黒幕・飛田(三島雅夫)いることを突き止める。飛田が羽田空港から外遊に飛び立つ直前に、警察の警護をかわして見事復讐を遂げる。

江波杏子が殺し屋を演じるという企画は容易に考え付きそうだが、鋭い眼光などなかなかサマになっている。もう少し機敏に動ければもっといいと思うのだが……。見どころは安倍の口を割らせるために、熱湯シャワーで攻めるシーン。ドMぶりが江波にピッタリ。この路線で攻めていればシリーズ化もあったかも……。

江波のファッショナブルな洋装が楽しめるし、高橋昌也や三島雅夫ら助演を得て最後まで飽きずに見れる。ビキニ姿も披露していることも加点したい。

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本作は私が見た「追悼 江波杏子 」では最後の作品だった。上映作品は大映時代の作品が中心だったが、もう少し時代が下った作品も入れてほしかった。個人的には『告訴せず』(1975年)、『ごくせん THE MOVIE』(2009年)、『食堂かたつむり』(2010年)を見たかった。