退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『闇を裂く一発』(1968) / 一発必中のガンアクション

新文芸坐の《尾けろ!張り込め!推理しろ! 昭和の刑事<デカ>が見た風景》という企画で映画『闇を裂く一発』(1968年、監督:村野鐵太郎)を鑑賞。昭和のプログラムピクチャーから刑事モノをチョイスした企画。大映映画。

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メキシコ五輪の強化選手になっている若手警察官3人が、射撃の腕を買われて凶悪犯逮捕のため招集され、ベテラン刑事と組んで捜査にあたる。ライフルで暴力団幹部を射殺した容疑者・手塚(佐藤允)が子どもを人質に逃亡しているという。主人公・本多(峰岸隆之介)は江口刑事(露口茂)と組んで張り込みを開始するが……。

拳銃を使ったことがないという江口刑事は、遭遇した犯人に丸腰で近づいていくがあっけなく撃ち殺される。そこまでに何度も防弾チョッキを着用を拒否するなど殉職フラグ立ちまくりで、「あーあ、やっぱり射殺されちゃったよ」というわかりやすい脚本。若い頃の露口茂はすでに「太陽にほえろ!」の山さんのような雰囲気があった。

クライマックの攻防戦は南千住にかつてあった東京球場(1972年閉場)を舞台にしている。毎日大映オリオンズの本拠地だったことで大映映画のロケ地となったのだろうか。スコアボード裏を犯人に占拠されるとう設定はユニーク。当時の球場の映像も貴重かもしれない。

派手な銃撃戦こそないが、ラストの一発必中で勝負がつくアクションシーンは手に汗握る名シーン。それにしても主演・峰岸龍太郎(のちの峰岸徹)は文句なくカッコいい。掘り出し物の一本。

余談だが、射撃選手の警察官が活躍する映画には、高倉健主演の『駅 STATION』(1981年)がある。本作でもそうだが、ライフル射撃は別にしてピストル競技のスキルが銃撃戦の実戦にどれほど役立つのだろうかといつも思う。

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