退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『昭和刑事物語 俺にまかせろ』(1958) / 親子刑事モノかと思ったがガッカリ

新文芸坐の《尾けろ!張り込め!推理しろ! 昭和の刑事<デカ>が見た風景》という企画で映画『闇を裂く一発』(1958年、監督:日高繁明)を鑑賞。昭和のプログラムピクチャーから刑事モノをチョイスした企画。東宝映画。

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事務所荒らしの男が殺害されるが、容疑者は正当防衛が認められ釈放される。しかし、この事件から犯罪組織の影を察知した警察は、面の割れていない新任の部長刑事(佐藤允)を潜入調査にあてるが……。

部長刑事の父親(宮口精二)が同じ部署に刑事として所属して、「潜入捜査」に加えて「親子刑事」の要素も楽しめるかと期待したがまったくアテが外れる。「親子刑事」では、経験豊富な父親のベテラン刑事が最後には活躍して、息子の若手刑事が父親の力量に納得しなくてはいけない。にもかかわず、宮口精二がまったく冴えないのだ。これじゃ平刑事のままなのは仕方ない。

ラストにヒロイン(浅田美恵子)が自殺して苦い結末を迎えるのシナリオもちょっと暗すぎる。ちなみに、この浅田美恵子はきつい目をした女優でなかなか魅力的なのだが初めて見たような気がする。

またクライマックに警察のボートが犯罪組織の摘発に向かう場面があり、これは大捕物かと期待させるが、すぐに犯罪組織の摘発を伝える新聞の紙面が映し出されてがっかり。まあプログラムピクチャーで予算がないのかもしれないが、映画としての楽しみに欠ける。

この映画の見どころは、若き日の佐藤允中丸忠雄の勇姿だろう。東宝を脇で支えるスターになったのも納得のバツグンの存在感を発揮している。

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