新文芸坐の《「映画監督 佐藤純彌 映画よ憤怒の河を渉れ」刊行記念 プログラムピクチャーから大作映画まで 映画の職人〈アルチザン〉 佐藤純彌》という企画で映画『君よ憤怒の河を渉れ』(1976年)を鑑賞する。原作は西村寿行の同名小説。主演は高倉健。
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- 発売日: 2018/12/21
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併映の『北京原人 Who are you?』と同じくらいリアリティのない映画だが、『北京原人〜』が途中でバカらしくなるのに対し、本作はエンターテイメントとして立派に成立している。中国で大ヒットしたのも頷ける。
地方検事が罠にはまり犯罪の汚名を着せられ、逃亡しながら無実を証明するために黒幕に迫っていくという話である。深く考えると滅茶苦茶な展開も多いが、最後まで面白く見られる。
本作は何度も観ていて、すでに感想もブログに書いているので、簡単に感想を述べておこう。
やはり主演の高倉健の存在感が大きい。映画全体を支配していると言ってもいい。併せてヒロインの中野良子の凛としたところも素晴らしい。彼女のベストではないか。
また新宿の街をたくさんの馬が暴走するシーンも見逃せない。好きな場面です。まさかゲリラ撮影だったとも思えないが、どうやって撮影許可をもらったのだろうと思うシーンである。
最後に劇伴の選曲がおかしいことも指摘しておきたい。シーンにまったく合っていない軽妙な楽曲が採用されている。これで良かったのだろうか。
まあカルト映画にはまちがいないが、不思議な魅力を持つ作品である。まだ観ていない人は一度は観ておくとよいだろう。