映画『眠狂四郎多情剣 』(1966年、監督:井上昭)を鑑賞。大映映画による市川雷蔵主演の眠狂四郎シリース第7作。原作は柴田錬三郎。
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2017/03/24
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将軍家斉の息女・菊姫(毛利郁子)は、かつて自分の醜い顔を見た眠狂四郎(市川雷蔵)を抹殺するよう疾風組に下命する。狂四郎は、菊姫からの招きに応じ岡場所に出かけるが、そこで黒装束の忍者たちに襲われる。巻き添えになりそうになった娘・はる(田村寿子)を身請けするが、その娘は侍すべてを憎んでいた。次第に菊姫と狂四郎との対決がエスカレートしていくが……。
このシリーズは低予算のプログラムピクチャーだが、その分、監督たちが自由に撮れたのかもしれない。この映画では井上昭監督の計算された映像テクニックを堪能できる。構図や色彩はよく練られているし、手持ちカメラも悪くない。映画好きはそれだけで楽しめるのではないか。
しかし物語はちょっとおかしい。菊姫の残虐行為に対して、狂四郎が激昂して説教まで始める始末。狂四郎は自分に災いが降りかからければスルーして、こんな青臭いことはしないのではないか。どうも狂四郎のイメージが違う。シリーズを通して構成を考える人はいなかったのだろうか。シリーズごとに主人公のキャラクターがバラバラなのはいかがなものか。
まあ、こうした作家性が強い映画が遺っているのも、プログラムピクチャーを見るの楽しみかもしれない。