退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

田村正和さん追悼特別番組『眠狂四郎 The Final』を見る

田村正和さんは、1972年~73年に放送されたテレビ時代劇「眠狂四郎」(全26話)に主演しています。正和版「眠狂四郎」は剣の腕と類まれな美貌を用いて悪を懲らしめるといく勧善懲悪の時代劇。これが人気を博し、正和さんの代表作となりました。

それから、およそ半世紀後の2018年に「田村正和×眠狂四郎」が復活し、シリーズ総決算として本作『眠狂四郎 The Final』が放送されました。当時「いまからやるんかい」と思った記憶があります。

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柴田錬三郎原作の豪剣小説の主人公「眠狂四郎」は、やはり壮年の剣士というイメージ。さすがに本作の狂四郎は「老境に入る」の感が強く、殺陣も冴えがありません。それでも総括をしたかったのは、何か思うものがあったのでしょう。

物語は総決算らしく、バテレンの子であるという自らの出生の秘密を絡めながら、自分の運命を総括しつつ強敵と対峙するというもの。狂四郎の子だとと名乗る娘(吉岡里帆)まで出てきます。

本作のヴィランは、狂四郎と同じく円月殺法を使う妖術の使い手・加賀美耀蔵(椎名桔平)。市川雷蔵主演の映画でも円月殺法使いの剣士と対決するシーンがありましたが、これと同様に円月殺法の使い手が敵として立ちはだかります。この加賀美は狂四郎の異母兄弟という設定もちょっと面白い。

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女優では狂四郎の娘役と名乗り出た娘を演じた吉岡里帆が意外によかったです。時代劇初挑戦とのことでしたが、和服を着こなせる人はなかなかいないなか画になってました。今後に期待したいです。そして文字若を演じた名取裕子にもびっくり。最初誰だかわからりませんでした(汗)。ちなみに旧作では文字若役はは野川由美子でした。

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時代劇としては物足りないというのが正直なところですが、最後のドラマに出演した田村正和、そして老境に入った眠狂四郎、この二人を重ねると感慨深いものがあります。追悼番組としてはよかったのではないでしょうか。

しかし個人的には、本作より前述の70年代に放送されれテレビ時代劇「眠狂四郎」からセレクションを見たかったかも……。

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余談ですが、正和さんは松方弘樹主演映画『眠狂四郎 卍斬り』で敵役で出演しています。レア作品なので見るには見る機会はあまりないでしょうが、機会があれば是非。