退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『馬賊やくざ』(1968) / 満州を舞台にした鶴田浩二主演のアクション映画

YouTubeの「TOEI Xstream theater」チャンネルで配信されていた、映画『馬賊やくざ』(1968年、監督:小沢茂弘)を鑑賞。主演は鶴田浩二。初見。

昭和7年に建国された満州国。日本軍部は満州を足がかりに大陸侵攻に野心をたぎらせていた。一方、武器商人・桜井(天津敏)は軍部と癒着してアヘン密売をめぐる利権を喰んでいた。そんななか、九州の侠客・南(鶴田浩二)は、幼なじみの赤木中佐(藤岡重慶)に満州に招かれるが、到着直後、赤木は暗殺される。南は桜井たちの陰謀を暴くべく行動を開始するが、桜井の手先たちや三木憲兵中尉(松方弘樹)から執拗な妨害にあう。途中、あやしい男たち(待田京介遠藤辰雄近衛十四郎)を仲間に加えた南だったが、抗日ゲリラの馬賊が現れて……。

まず「馬賊やくざ」というタイトルがおかしい。タイトルから侠客の主人公が馬賊になって大陸で大暴れするのを想像していたがまったくちがっていた。一応申し訳程度の馬賊は登場するが、タイトルが釣りなのか……。

映画の見どころは2つ。

ひとつめは遠藤辰雄。彼はのちに時代劇ドラマの悪代官など、どこか憎めない悪役を持ち味にしていたバイプレイヤーだが、本作ではめずらしく主人公側に立っていい味を出している。共演者と並ぶと意外に巨躯で存在感がある。

ふたつめは近衛十四郎。殺陣の上手さで知られた俳優だが時代劇以外でみるのはレア。松方弘樹の実父でもあり、本作ではあまり絡みはないがブレイク前の松方と共演している点にも注目したい。

ストーリーは勧善懲悪のわかりやすい内容になっている。ラスボスの武器商人を倒して一件落着という終わり方だったが、本来ならば関東軍指導部に元凶があるはずで、そこまで切り込んでないのは物足りない。

また日本らしくない風景が続くロケ地だな思って見ていたが、台湾ではないかと教えてくれた人がいた。事の真偽はわからないが、海外ロケするような大作でもないないのに、どうした経緯があったのだろう。異国の雰囲気がよく出ていたのは加点したい。

エクストリームとは言えないが、なかなかレアな作品でありネット配信してくれてありがたい。謝謝。

馬賊やくざ