新文芸坐で高倉健追悼企画《さらば健さん! 銀幕に刻んだ男の生き様 追悼 高倉健 第二部・東映編》で、『人生劇場 飛車角』(1963年、沢島忠)を鑑賞。原作は尾崎士郎ですが翻案され飛車角がフィーチャーされています。
- 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
- 発売日: 2014/03/14
- メディア: DVD
タイトルロールの飛車角は鶴田浩二、ヒロインのおとよは佐久間良子、吉良常は月形龍之介がそれぞれ演じています。そしてわれらが健さんは、飛車角の弟分の宮川役です。飛車角の服役中、残していった女房・おとよと男女の関係になり、やくざの義理と女への情愛に苦悩するという役回りです。
見どころは、宮川が飛車角に事情を話し不義理を詫びて土下座する場面です。もちろん飛車角は二人を黙って許します。ロケーション撮影による海岸の風景も美しい。その後、仁侠映画を背負って立つ二人のスターが若いです。そして佐久間良子がキレイなのこと。
終盤、宮川はかつての親分殺害の真相を知って単身殴り込んで殺害されてしまい、さらに飛車角も仇をとるため敵の屋敷に向かいます。泣きながら止めるおとよを振りきって待ち構える敵に向かって坂道を登っていく……(終劇)。
続編に導入するようなラストでしたが、案の定、本作はシリーズ化されヒットします。本作は、東映が時代劇映画から仁侠映画に路線転換したメルクマール的な作品として記憶される名作でしょう。
この話は何度も映画化されていますが、内田吐夢監督の『人生劇場 飛車角と吉良常』(1968年)では、高倉健が再び宮川を演じています。役が気に入ったでしょうか。本作と内田吐夢版の二本立てで上映してほしかった。