近くのシネコンでマーベル映画の旧作がいくつか上映されていた。そのなかから映画『ブラックパンサー』(2018年、監督:ライアン・クーグラー)を見てきた。アメリカン・コミック『ブラックパンサー』の実写映画化作品。『マーベル・シネマティック・ユニバース』シリーズとしては18作品目となる。
アフリカの小国である「ウカンダ国」には大いなる秘密があった。ウカンダ国は、世界を揺るがすほどの巨大な力を秘めた鉱石「ヴィブラニウム」を秘匿しており、そのおかげで高度な科学技術を持つ超文明国だったのだ。若くして国王の地位を継ぐことになったチャラ(チャドウィック・ボーズマン)は、ヒーロー「ブラックパンサー」でもあった。彼のもとにかつてヴィブラニウムを盗み出したクロウ(アンディ・サーキス)が現れたという知らせが届く。チャラは、ヴィブラニウムでできた武器を盗み出したクロウを追って釜山に飛ぶが……。
Marvel Studios' Black Panther - Official Trailer
見どころは、アフリカにある架空の超文明国家「ウカンダ国」のデザインや美術だろう。これまでに見たことのない世界観に驚かされる。これを大きなスクリーンで見ただけでもよかった。
ヒーローとしてのブラックパンサーは精悍でカッコイが、その力がなくても槍の女戦士が強すぎでちょっと笑える。もうブラックパンサー要らないよねと思ってしまう。
この映画は黒人監督が撮った黒人の映画ということで話題になったが、最近は人種差別が社会問題として注目されているが、この映画はどう評価されるのだろうか。結構、差別的な描写が目立つような気がする。
例えば、超文明国家であるにもかかわらず槍を持ってウホウホやっているような部族の描写はどうなんだろうと思ってしまう。そもそも超文明の力を持っているのに、長い間虐げられていたアフリカ諸国を助けようとしなかったウカンダ国は何だったのだろう。
まあシンプルな物語で何も考えずに楽しめる娯楽映画としては秀作と言ってよいが、いろいろを裏を読み取ろうとすると考えさせられることは多い。とくにいまのご時世では……。
エンドクレジットのあとの映像にも注目。ブラックパンサーに敗れた悪役が戻るのが母国のアフリカではなくて、オークランドのダウンタウンというのは辛辣である。このシーンは必見。最後まで席を立たないでね。