退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『月曜日のユカ』(1964) / 中平康監督のスタイリッシュな一本

シネマヴェーラ渋谷の《“キネマ洋装店”コラボ企画 美しい女優・美しい衣装》という企画で映画『月曜日のユカ』(1964年、中平康監督)を鑑賞。加賀まりこ主演。白黒映画。

港町ヨコハマの上流ナイトクラブでは、18歳のユカ(加賀まりこ)が人気を博していた。ユカにはパトロン加藤武)と若い恋人(中尾彬)がいたが、教会にも通っていた。ユカは、パパと呼ぶ初老のパトロンを幸福にしてあげたいという気持ちでいっぱいだった。しかし、ある日、ユカはパトロンの新規ビジネスため外国船の船長に抱かれてくれと頼まれるが……。

月曜日のユカ(オリジナル・サウンドトラック)

フランスのヌーベルバーグを思わせるスタイリッシュな映画。黛敏郎の劇伴も効果的。とにかくテンポがいい。演出や編集が冴えていて中平康の才気が感じられる。彼の代表作のひとつ。ストーリーはとくに面白くはないが、断片的なシーンの雰囲気を楽しむタイプの映画だろう。

出演者では、いまからは想像だにできない小悪魔・加藤まりこがキュート。演技が上手いというわけでもないが、あの雰囲気がだせるのは天然の不思議少女だったのだろうか。ユカの母親(北林谷栄)との芝居も深みがあっていい。


月曜日のユカ 予告篇

今回の「女優と衣装」という趣旨からはカラーで撮っていればと思わなくもないが、白黒映画の力の抜けた感じが奏功しているのかもしれない。

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