退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『あした晴れるか』(1960) / 芦川いづみのコメディエンヌぶりを愛でる青春ラブコメ映画

新文芸座の《「芦川いづみ 愁いを含んで、ほのかに甘く」出版記念 芦川いづみ映画祭》で映画『あした晴れるか』(1960年、監督:中平康)を鑑賞。主演は石原裕次郎中平康作品なので期待大。

秋葉原のヤッチャバ(東京青果市場)につとめる耕平(石原裕次郎)の本職はフリーのカメラマン。ある日、耕平はフィルムメーカーから「東京探検」というテーマで仕事を依頼される。その担当は才女として知られる宣言部員のみはる(芦川いづみ)だった。撮影のため二人で東京を走り回ることになるが……。

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カメラマン裕次郎が、ヒロインみはると衝突しながらもやがて互いに惹かれ合うラブコメ。黒縁メガネの芦川が実に印象的。フライヤーによれば、本人はおでこ全開のヘアスタイルは嫌だったらしいが。

メガネっ子の通例として、どこかでメガネを外して「かわいい〜」となるのだろうと思いながら見ていたが、なかなかメガネを外さない。やがて酔いつぶれて家に運び込まれたときにほんの一瞬だけメガネを外す場面があった。一瞬だけというのミソなのだろう。いまでいう「メガネっ子」がこの当時からあったかと思うと面白い。

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この映画の見どころは、表情豊かな芦川のコメディエンヌぶりに尽きる。芦川いづみ特集にふさわしい傑作。

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