新文芸坐の《魅惑のシネマ・クラシックスVol.30》という企画で、映画『エヴァの匂い』(1962年、監督:ジョセフ・ロージー)を鑑賞。ジャンヌ・モロー主演。白黒映画。原題は単にEvaだが、生々しい邦題がついている。
新進の小説家ジョーンズ(スタンリー・ベイカー)は、雨の夜、自分の別荘に男と迷い込んできた謎の女・エヴァ(ジャンヌ・モロー)の魅力に虜になる。彼にはフランチェスカ(ヴィルナ・リージ )という婚約者がいたが、次第にエヴァに入れ込み破滅していく……。
EVA de Joseph Losey - Official trailer - 1962
当時、ジャンヌ・モローは30歳代半ぐらいだが、徹底的な悪女ぶりが堂に入っている。さすがです。いまの平均的日本人の感覚では、エヴァはイタいおばさんに映るかもしれないが、おじさん的にはジャンヌ・モローが演じる「運命の女」にはとても説得力がある。ジャンヌ・モローをどう感じるのが映画のポイントだろう。
また、この映画ではジャズが効果的に使われていて独特のスタイリッシュな雰囲気になっていることにも注目したい。この手法は日本映画にも少なからず影響を与えたのではないだろうか。
クライマックスは、エヴァが執拗に彼女に迫るジョーンズを乗馬用のムチで打ち据えて、部屋から追い出すシーン。映画の中盤あたりで、パトロンのひとりから贈られたムチが届くシーンがあるが、大事な伏線なので見逃さないようにしたい。
そこまで酷いことをされてもエヴァを諦めきれないジョーンズはどうなっているのか。谷崎潤一郎『痴人の愛』を思いだした。
ところでこの映画を昔観たときは、たしか仏語劇だったような記憶があるが、今回はなぜか英語劇だった。私の記憶ちがいなのか別に英語版があるのか不明だが、ジャンヌ・モロー主演なのだからフランス語で観たかった。