新文芸坐の《魅惑のシネマ・クラシックスVol.30》という企画で、映画『ダンケルク』(1964年、監督:アンリ・ヴェルヌイユ)を鑑賞。ひとりのフランス兵士からみた撤退作戦を描く。2017年に公開されたクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』の影響で再び注目を集めたフランス映画。
第2次世界大戦の北フランス、ダンケルクの海岸では、40万人ちかい英仏軍がドイツ軍に追い詰められていた。フランス軍の一兵士ジュリアン・マイア(ジャン=ポール・ベルモンド)は部隊からはぐれ、仲間たちと海岸に廃棄された医療用トレーラーで野営していた。ダンケルクの海岸からイギリスに渡る船が出ることを聞きつけたマイアは、海岸に出かけるが「フランス人だダメだと!」断られてしまう……。
Dunkirk trailer 1964 Weekend at Dunkirk
ダンケルク撤退作戦の大局についてはほとんど語られず、もっぱら医療トレーラーで生活する4人のフランス兵と近くの街に暮らす娘ジャンヌ(カトリーヌ・スパーク)から見た狭い世界を綴りながら映画が進行していく。
にもかからずエキストラが大量動員されたり、大規模な爆発シーンがあったり、意外にも予算をたっぷりかけた迫力のある戦争シーンが満載で、期待以上のの掘り出し物だった。大作といってもよい。
メインは当時人気絶頂だったジャン=ポール・ベルモンドのラブストーリー。レイプされそうになったジャンヌを救うために友軍兵士を射殺してしまい、すっかり戦争に嫌気がさしたマイアは除隊して、ふたりで別の街に行こうとする。しかし待ち合わせの時間にドイツ軍の攻撃を受けてマイアは戦死。そこに赤いコートを着たジャンヌが遠くから姿をあらわす。
古いフランス映画によくある、救いようのないエンディング。ラストの赤いコートが鮮明だったのは、映像が掘り起こされたためだろうか。パッケージソフトも再販されている。クリストファー・ノーランの新作のおかげだろう。