退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『雑兵物語』(1963) / 藤村志保の可憐さに注目

神保町シアターの《東西対決! 輝ける〈大映〉男優の世界》で、映画『雑兵物語』(1963年、池広一夫監督)を鑑賞。 勝新太郎主演。清水崑の原作漫画を、脚本家・小國英雄が脚色したスラップスティック。脚本が冴えている。

戦国時代の農村に徴兵の命が下り、村人の男たちに流れ者(勝新太郎)や手当て目当てに男装して参加する女(藤村志保)が加わった寄せ集めの足軽集団が戦場に向かう。

大映には珍しいドタバタ喜劇。勝や船越英二のトボけた演技が絶品。またお姫様やシリアスな役が多い印象の藤村志保が男優たちに混じってコメディを楽しそうに演じているのは貴重。意外な面を垣間見れてよかった。途中からダブルボディかもしれないが、藤村の入浴シーンもあり(サービスシーン!)。

後半、足軽集団が舶来の大筒の砲弾を輸送する任務を担い、輸送先まで楽しい道中記になる展開もよくできている。

終盤、新兵器の砲撃により敵方の城が跡形もなくなくなってしまう。これは当時の東西冷戦下の核戦争の危機を風刺したものだったのだろうか。それでも足軽集団は無事。後味のいい終わり方なのもよい。見どころの多い時代劇喜劇の秀作。

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映画『雑兵物語』(1963年)/勝新太郎