退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『白い巨塔』(1966) / 橋本忍の脚本が冴えている山本薩夫監督の代表作

新文芸坐の《生誕110年 巨匠・山本薩夫 反骨のヒットメーカー》で映画『白い巨塔』(1966年)を鑑賞。原作は山崎豊子の長編小説。主演はもちろん田宮二郎大映映画。

舞台は国立浪速大学医学部。第一外科・東教授(東野英治郎)の後任を決める教授選挙を巡り、財前五郎田宮二郎)と教授との確執が表面化する。外部から後任を移入させようとする東教授と、財前を推す産婦人科医院を経営する義父や関西医師会らの陣営との対立が沸騰する。そうしたなか財前が医療事故を起こし、遺族から医療過誤訴訟を起こされるが……。


Shiroi Kyotô (1966) ORIGINAL TRAILER [HD 1080p]

社会派として知られる山本薩夫監督の真骨頂。娯楽性と社会性を両立してまったくスキがない。これには橋本忍の脚本によるところが大きいように思う。俗物と言われても仕方ない登場人物たちの生々しさがよく描けている。何度見ても飽きない傑作。監督の代表作であり、今回の企画上映のポスターにも使われいる。

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クライマックは財前五郎の義父・又一が(石山健二郎)、東教授が医学界の権威・東都大学の船尾教授(滝沢修)を担ぎ出したのに対し、「なんぼや!?あっちが権力ならこっちは金や」と息巻くシーン。関西弁が効果的。

ちょっと残念なのは女性陣。東教授の娘・佐枝子(藤村志保)や財前五郎の愛人・ケイ子(小川真由美)はややイメージが違うように思う。これは時代のせいかもしれない。個人的には、テレビドラマ(1978年版)の島田陽子太地喜和子の方が適役に思える。

上映時間150分の長尺と長いが、制作当時はまだ原作が完結していなかったこともあり、この映画は、財前側が医療過誤訴訟の一審で勝訴して、里見助教授が大学から追われるところで終わっている。このスタッフとキャストで続編をつくってほしかった。

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