退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

中央公論: 小谷野敦「さらば東京大学」

中央公論 2009年 04月号 [雑誌]
中央公論』 2009年4月号で、小谷野敦氏が、昨年度末で東大の非常勤講師を雇い止めになった経緯を綴った「さらば東京大学」という文章を読む。

辞めることになったのは、「東京大学喫煙対策宣言」に従わないと大学側に明言したためだという。「禁煙運動」の是非は別にして、タバコ絡みで大学を去るというのはいかにも氏らしい。辞めることになってもどこか飄々しているように感じられたが、大学の図書館の利用資格を失うなど、今後、仕事上で支障がないのかといった心配はないのだろうか。

また、阪大を辞めてからの再就職がままならず、「私よりよほど業績の少ない人間が、有名大学の教授になったり、東大教授になっているのだから、恨まずにいられようか」とグチも書いている。

これを読んで、映画「白い巨塔」(1966年、監督:山本薩夫)のセリフを思い出した。主人公の財前五郎が教授選に挑むことになり、石山健二郎が演じる義父・財前又一が大阪弁で「実力どおりに物事が運べば世の中楽なもんや! 実力のない奴が大臣なったり、社長になる 時代やないか!」(うる覚え)と気炎をあげるシーンである。まあ、人事は古今東西そうしたものであろう。

氏は、この春、私塾「猫猫塾」を開校したそうだ。うまくいくといいなと思う。