声優・佐々木望さんの東大受験体験記。2013年、東京大学文科一類に一般前期試験で合格し、声優の仕事のかたわら休学期間を挟みながら通学し、2020年に法学部を卒業したというツワモノ。
佐々木望さんと言えば、私にとってはOAV「銀河英雄伝説」のユリアン・ミンツ役のイメージです。古くて申し訳ない。その後、テレビアニメ「鎧伝サムライトルーパー」では主演男性声優5人で声優音楽ユニット「NG5」を結成して女性ファンの人気を博しましたのが懐かしい。
そんな佐々木望さんが人知れず東大を卒業していた知ったときは本当に驚きました。本書は東大合格の体験記ですが、ユーモアを交えた文章は単純に読み物としても面白いです。受験生以外にも楽しめます。ただし試験制度や参考書はその当時のことなので、受験生はその点は要注意。アップデートされた情報を収集する必要があります。
また社会人が大学受験に立ち向かう場合の考え方や戦略については参考になることは多いです。社会人として経験を経た人ならば、「いまなら大学受験をもっとうまくやれるのに〜」と思う人は多いでしょう。実際、タスク管理や時間管理などのスキルは大学受験でも有効にちがいありません。
ただ実際に損得を考えると大学で再び学ぼうと思う人は多くないのが現実です。リカレント教育がほとんど評価されないのがいまの日本です。そうした損得抜きで大学で学ぼうと考えた筆者の姿勢には見習うべき点があります。
細かいことになりますが、筆者が東大受験に成功したのは英語がすでに完成していたことが大きい。大学受験前に英検1級、全国通訳案内士(英語)を取得していたというからすごいです。いちばん学力を獲得するのに時間がかかるとされる英語をほとんど対策する必要がなかったのは大きいですね。
あと印象的だったのは、巻末の対談で恩師の方が「佐々木望さんは講義室でもオーラが出ていた」ということを語っていたこと。東大に在学していることは卒業するまでヒミツだったらしいですが、どんな東大生だったのか気になりますね。在学中にことについては、下記のウェブサイトにまとまっています。興味のある方はぜひ読んでみてください。
この本で感じたのは、何事に対してもストイックな人だなということです。やはり成功する人はこうなのかなと思いながら読み終りました。オススメです。