退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

原秀則によるコミック『冬物語』を読了しました

以前より気になっていた原秀則のコミック『冬物語』(全7巻)を読んでみた。1987年から1990年まで『少年ビッグコミック』およびその後継誌『ヤングサンデー』にて連載されていたマンガである。シェークスピアの作品と1ミリも関係なし。

第1巻~第7巻  冬物語  WINTER STORY 原 秀則  ヤングサンデーコミックス  YOUNGSUNDYCOMICS  小学館

大学受験を下敷きにしているが、テイストは80年代のラブコメという趣の作品。主人公・森川光に加えて、ヒロインがふたり(ロングヘアとショートヘアの娘)が登場するのは、どこかしらあだち充の作品を思い起こす。

ふたりのヒロインは、それぞれ二浪の末に東大と慶応大学医学部に合格するが、一方主人公は二浪で専修大学にかろうじて滑り込むという始末……。まあこの頃の大学受験はいまと比べてダントツに難しかったし、日東駒専レベルでも浪人も当たり前だった記憶がある。いまからはちょっと想像できない。

いわゆる当時の予備校文化を描いているのはなかなか面白いが、大学についてはそれぞれの校風などが描写があまりなく物足りない。とくに私大はそれぞれのカラーをしっかりと描いてほしかった。

劇中に「日東駒専」という大学群は頻繁に登場するが、「MARCH」という大学群は登場しないのは印象的だった。MARCHと言い出したのは、90年代に入ってからなのだろうか。

また登場する大学名はほとんど実名だが、主人公が1浪して入学する「八千代商科大学」というのはさすがぶ架空の大学名になっている。いわゆる、いまでいう「Fランク大学」として登場するわけだが、「Fランク大学」というワードも登場しない。このワードが喧伝されたのは00年代以降のようだ。

私も都内の予備校に通って、ヒロインのようなステキな女の子とイチャイチャしたかった……。いまさらながら、そんな思いを抱かされた作品だった。