退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

阪大入試ミスで思ったこと

今週末にセンター試験が迫り、いよいよ受験シーズンの到来だ。そうしたなか2017年2月に実施された大阪大の入試ミスが大きく報じられた。一般入試(前期日程)の物理で出題と採点にミスがあり、本来なら合格していた30人を不合格にしていたという。 国立大としては前代未聞の規模である。

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社会とは理不尽なものだよ、お兄さん

大学受験の一般入試は、主にペーパーテストの成績で合否が決まるのが建前である。努力して結果を出せば報われる制度である。とくに多額の公的資金が投入されている国立大の場合、公平でなければいけないというのは当然であろう。

しかし社会に出れば理不尽なことが多いのは周知のとおり。結果を出していないのに派閥に入っているだけで出世したり、たまたま偶然が重なり思わぬ結果を出すことができて評価されることはザラにある。社会とは理不尽なものなのだ。

今回も本来なら合格していた30人を不合格にしていたということは、逆に本来なら不合格だったおよそ30人が合格していたことにもなる。その人たちはラッキーというほかない。合格取り消しにできるはずもない。

やはり社会は理不尽なのだ。

ところてん的な被害にあった受験生はどうなるの?

今回の入試ミスで不合格になった人たちについて救済策が阪大から発表されている。全員を追加合格とし、希望者は今年4月に1~2年生での転入学を認める。他大学や予備校に通うなどしているとみられ、授業料などの補償や慰謝料の支払いを行う。まあ当然だろう。

しかしこの阪大の入試ミスの影響を受けて、受験で不利益を被った受験生もいることも忘れてはいけない。つまり阪大を不合格になった受験生が、不本意ながら別の大学に流れて、その分押し出されるように、本来その大学に合格していた人が不合格になっているはずである。さらに同様なことが、大学の序列を上から下に向って何度も繰り返されていると想像できる。

そう考えると阪大で不合格になった30人だけでなく、その数倍もの受験生が不利益を被っていることになる。阪大が難関校であるゆえに影響は大きいと考えられる。

こうした「ところてん的な被害者」は救われることはない。やはり社会は理不尽である。

出題ミスより事後の対応がマズいだろ(常識的に考えて)

人間が出題して採点する以上、入試の出題ミスは避けられない。問題の本質は、出題ミスを指摘されたあとの対応であろう。報道によれば、6月にはすでに出題ミスを指摘されていたにもかかわらず、真摯に対応することがなかったらしい。

その結果、センター試験の1週間前にようやく公表するという体たらく。今年のセンター試験を受ける浪人生が「どうしていいか分からりません」とコメントしていたが、よく気持ちはわかる。

せめて夏休み前に分かっていいれば、夏期講習で手当てするなど別の対応ができたはずだが、その機をみすみす逃している。理系エリートなので大学院まで進学する人が多いだろ。ここでの一年の遅れは本人はもちろん、国家にとっても大きな損失と言えよう。

まとめ

今回の入試ミスは、阪大総長だけでなく文科相がコメントするなど大きな問題になっている。上に社会は理不尽なものだと書いたが、受験生個人にとっては堪ったものではない。人生がかかっているというと大袈裟だが、受験生本人はそのくらいの意識であろう。こうした理不尽が起きないように最大限の努力をするのが大人の責任というものだろう。

大阪大学(理系) (2018年版大学入試シリーズ)