退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『流れ板七人』(1997) / 松方弘樹が演じる普通の中年男性

新文芸坐松方弘樹追悼企画《「無冠の男 松方弘樹伝」刊行記念 追悼 松方弘樹 演じた! 作った! 撮った! 映画をこよなく愛した最後のスター》で、『流れ板七人』(1997年、監督:和泉聖治)を鑑賞。人気コミック『流れ板竜二』(牛次郎脚本、笠太郎作画)の映画化。時代劇やヤクザ映画で名を馳せた松方弘樹が、90年代後半に普通の中年男性を演じた作品。DVD化されていない。

流れ板七人[VHS]

流れ板七人[VHS]

  • 発売日: 1997/07/11
  • メディア: VHS

かつて流れ板でいまは岡山の港町で料理店を営む竜二(松方弘樹)は、大恩ある花板・精蔵(梅宮辰夫)の窮地を救うために東京に呼ばれる。そうこうしてるうち流れ板の意地と老舗料理店の暖簾を賭けた料理勝負に挑むことになる。

松方は抑えた演技でも存在感十分。いしだあゆみ浅野ゆう子の二人にモテるというロマンス設定も楽しい。いかりや長介松村達雄らベテランの共演者も映画を引き締めていて見応えがある。惜しむ楽はせっかく梅宮が花板役なのだから料理の腕前を披露してほしかった。冒頭板場で倒れてそのまま他界してしまうのはもったいない。

また料理が美味しそうに撮れてる点はグルメ映画として評価できるが、映画としてはいろいろとおかしい。まず料理勝負の決着がどうなったのか分からずじまいなのが不満だし、料理勝負の後に竜二なしで料亭を存続できるのかも疑問。

そして何より料亭は「金沢のまほら温泉」にあるとされているが、これっぽちも金沢らしくないのはいただけない。いったいどこでロケしたのか。もう少し丁寧に映画を撮ってほしいものだ。

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