退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】池上彰『世界から戦争がなくならない本当の理由』(祥伝社、2015年)

第二次世界大戦から70年を経た2015年にも世界ではたくさんの戦争が起こり、悲劇が繰り返されている。この本では。日本と世界がどのように戦後を生きていたのかを振り返りながら、近現代史を参照しながら現代の複雑な国際情勢を読み解いていく。世界史の復習のような内容もあるが解説は分かりやすい。

世界から戦争がなくならない本当の理由

世界から戦争がなくならない本当の理由

  • 作者:池上 彰
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2015/07/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

戦後の歩みは国によって様々だ。さいわい日本は第二次世界大戦以降、戦争を経験せずに済んでいる。日本で「戦後70年」と堂々と言えるのは誇らしいことだ。しかし、それは日本が先の大戦から学んだことを積極的に活かしていきた結果ではなく、たまたま世界情勢がそれを許してきただけだということがわかる。

むしろ日本は戦争を十分に総括をしないままに現在に至っている。この本では、最終章でこのことを「バックミラーが曇っていた戦後日本」と看破している。再び「戦争の過ち」を繰り返さないためには、バックミラーの曇りを拭きさって、戦争をから得た学びをもう一度見直す必要があろう。戦争経験者が年々減っていくなか、いまはそのラストチャンスかもしれない。

タイトルの「世界から戦争がなくならない本当の理由」を過去から学ばないからとするのは簡単すぎる気もするし、この本を読めば読むほど世界から戦争をなくすのは不可能にも思える。しかし日本が戦争に巻き込まれない精いっぱいの努力はする価値があるだろう。参院選などの政治イベントが予定されているなか、いまこそ近現代史をおさらいして、これまでの戦争について学んでみてもいいだろう。

f:id:goldensnail:20160127231339j:plain:w400