六本木ビルズの森美術館で開催中の「村上隆の五百羅漢図展」に行ってきました。毀誉褒貶が激しいものの村上氏の知名度を考えると、国内では14年ぶりの個展というのは意外に思えます。
今回の展示会の目玉はもちろんタイトルにある超大作《五百羅漢図》です。2012年にカタールで公開されたときの写真を見て、ぜひ一度実物を見たいと思ったので「やっと来たか」と出かけてきました。この《五百羅漢図》は、中国の古代思想で東西南北を司る四神(青竜、白虎、朱雀、玄武)の名を冠した4面で構成され、全長100メートルに及ぶ巨大な絵画です。
▲白虎です
こんな巨大な作品を六本木ヒルズの53階まで持ってくるのはさぞ大変だったろうな思っていましたが、実物を見ると作品は細長いパネルを何枚も組み合わせて構成されており、存外にポータブルだということがわかりました。やっぱり諸々の事情を考えると、「まあ、そうなるわな」と思った次第です。
▲Macの壁紙ですね、わかります
今回は絵が巨大すぎるため、音声ガイドについても普段にはない使い方を経験しました。絵を見始めるときに番号で音声を選択してガイド聞きながら絵に沿って歩いていきます。そして、ある場所になると別の赤いボタンを押してその部分のガイドを聞くことを繰り返します。ちょっと新鮮な体験でした。
面白かったのはの《五百羅漢図》の制作過程を紹介したコーナーが用意されていたことです。下絵や作業指示書、工程管理などの資料が展示されていて、現代の工房システムの一端を垣間見れます。また会場のディスプレイで流れていて制作プロセスを紹介するスライドも興味深く拝見しました。
▲「指示書どうりにヤレ!ボケ!」
また《五百羅漢図》の他には、村上隆と美術史家・辻惟雄との間で、「芸術新潮」誌上で繰り広げられた絵比べを再現した展示も必見です。その様子は『とんぼの本」にまとまっていたはずなので読み直したい。音声ガイドで、辻惟雄氏のインタビューや解説が聞けたのもよい企画でした。
- 作者: 辻惟雄,村上隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/11/27
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (4件) を見る
あと余談ですが、順路の最後には村上隆の年譜がありますのでお見逃しなく。とくに少年期や学生時代のあたりは楽しいのでチェックしてみてください。