帯に踊る“日本は決して「侵略国家」ではありません! ”という惹句からわかるように、アノ手の本です。
最近は安倍首相のおかげで歴史修正主義者という語も定着してきましたが、それを地で行くような内容です。これをネトウヨの本と切り捨てるのは簡単ですが、実はいろいろな人に読んでほしい本です。
この本では、明治維新から、日清・日露戦争、満州事変、日米開戦まで、戦後70年間、教科書や新聞、テレビが伝えてこなかった、ホントの「大東亜戦争史」を概ね淡々と語っていきます。時々トーンが上がる箇所もありますが愛嬌ということで。
とにかく読みやすいので、日本の近代史がすんなりと頭に入ってくるのは美点でしょう。かつて日本史の授業などでインプットした知識を整理・補充するのにも役立ちます。欲を言えば、巻末に簡単な年表と地図があるとさらによかったかもしれません。
さらにキビシイことを言えば、せっかく参考文献を挙げてあるのに、文中のどの箇所で文献を参照または引用したのかわかりません。まあ学術書ではないので仕方ないでしょうが、読み進めていくと「これ本当なの?誰が言ってるの?」と疑問に思う箇所もありました。
この本をそのまま受け入れられないと思う読者も多いでしょうが、それでも日本の近代史の一面を捉えているのは確かです。歴史には多様な見方があることを確認する意味でも、帯に臆することなく手に取ってみるとよいでしょう。
そして、読後は大東亜戦争についての知識を整理したり、さらに別の本にあたったりして、自分なりの歴史観を練りあげていくことが重要でしょう。グローバル化と言っても自国の歴史について語れないようでは話になりません。
最後になりますが、この本を読んでみたのは、YouTubeで筆者の動画を見たからですが、本のプロフィールでもどんな人物なのかよく分かりません。動画製作者という肩書になっていましたが、アカデミックな訓練を受けたのか、これまでどんなキャリアを積んできたのか気になります。