新文芸坐の《新春ゴジラまつり》で、『ゴジラvsビオランテ』(1989年、監督:大森一樹)を鑑賞。ゴジラシリーズの第17作。平成VSゴジラシリーズの第1弾。特技監督の川北紘一の追悼としてもしっかり見てきました。
本作はゴジラから採取したG細胞とバイオテクノロジーを使って、植物と動物の融合怪獣が登場するところが新しいが、造詣がオドロオドロしいのにも困惑する。従来の怪獣のイメージとはちがいすぎて戸惑ってしまうのだ。
そうしたこともあり、この映画はゴジラ対ビオランテの戦いよりも、人間とゴジラとの戦いが見どころであろう。ゴジラの熱線を反射して対抗できる「スーパーX2」などの自衛隊の新兵器が注目を集めたが、素人目にもこれって無理じゃねと思わせるツッコミどころ満載のメカだったのはなつかしい。
まず、これって本当に飛べるのだろうか。もうちょっと科学的に説得力があるメカだったらよかったのに……。しかし遠隔操縦、現代のドローンの技術、が導入されているところは先見性があったというべきか。何はともあれ自衛隊が健闘しているのはよし。
さらに本作では、G細胞の争奪をめぐるサスペンス・アクションも描かれているのも特徴で、ストーリーに深みを与えている。しかし登場する外国人の役者が下手すぎるて萎える。もう少しキャスティングに気を使ったら映画が引き締まったかもしれない。
さてキャストに目を転じると、個人的には元・キャンディーズのスーちゃんこと田中好子がヒロインで登場して笑顔を見せてくれていることが最高にうれしい。すべてが報われた。他には、幹部自衛官を演じた峰岸徹がかっこいい。ツイン21からゴジラの口に抗核エネルギーバクテリア (ANEB)弾を打ち込むが、ビルが崩壊して殉職。いつも絵になる俳優だ。
新機軸を打ち出した作品として、ゴジラシリーズでは異色作として括られるだろうし、好き嫌いがはっきり出る一本だろう。ちなみに今回の併映作は『ゴジラ対ヘドラ』だったので異色作2本立てというところか。ナイスチョイスと言っておこう。
余談だが、、本作は『帰ってきたウルトラマン』第34話「許されざるいのち」との共通性もよく知られている。現在、Huluで配信されているので、検索してすぐに確認できるのはすごい。いい時代になったものだ。