シネマヴェーラ渋谷で開催されていた千葉真一特集「チバちゃん祭り!Sonny Chiba A Go Go!!」で、映画『日本暗殺秘録』(1969年、監督:中島貞夫)を鑑賞。
オールスター・キャストで、幕末、明治、大正、昭和の百年に起こった数々の暗殺事件をオムニバス形式で再現した映画。全編通して反体制の息吹が感じられますが、やはりテロでは何も解決できないと私は思います。しかし、これは現代の価値観によるものかもしれません。
われらが千葉ちゃんは、映画のなかで最も焦点が当てられている血盟団事件の実行犯・小沼正を演じています。本作ではアクションスターというより役者としての千葉ちゃんを見ることができます。代表作のひとつと言ってよいでしょう。ちなみに「血盟団」の指導者であった井上日召は片岡千恵蔵が演じており、千葉ちゃんとのかけあいも貴重です。
この映画では、小沼正の生い立ちから暗殺までの過程を緻密に描くことで、当時の世相、そしてテロリストの心の内側を明らかにすることに成功しています。公開当時、安保闘争などで世間が騒然としているなか、このようなテロリストを礼賛するような映画に対して風当たりが強かったと聞き及んでいますが、さすが東映です。びくともしません。
この映画はソフト化されており、特典映像として千葉真一と小沼正が談笑するシーンが収録されているとのこと。一度見たみたいものです。
- 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
- 発売日: 2011/02/21
- メディア: DVD
参考のため、この映画で取り上げられている暗殺事件を列挙しておきます。最近は、めっきりとこうした事件はなくなりました。当時なら暗殺されているよなという政治家や財界人は大勢いるようにも思えますが……。
- 桜田門外の変 (1860年)
- 大久保利通暗殺事件 (紀尾井坂の変)(1878年)
- 大隈重信襲撃事件 (1889年)
- 星亨暗殺事件 (1901年)
- 安田善次郎暗殺事件 (1921年)
- ギロチン社事件 (1924年)
- 血盟団事件 (1932年)
- 永田暗殺事件(相沢事件) (1935年)
- 二・二六事件 (1936年)