退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】松井忠三『無印良品は、仕組みが9割』

良品計画のトップが、赤字経営からV字回復を実現した「2000ページのマニュアル」の秘密を公開する本です。読む前はマニュアルの内容がもっと載っていると期待していましが、それほどではありません。その点は期待はずれでした。

無印良品は、仕組みが9割  仕事はシンプルにやりなさい

無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい

経営を立て直した実績から、全体的にじみ出る「ドヤッ」感があります。ひと言でいうなら、「人」に頼るのではなく「仕組み」に頼るということ。人に頼らないのだから会社には必ずしも、とびきり優秀な人材は必要ありません。その仕組みを支えるものは何かというと、それは「マニュアル」というわけです。

外資企業が、高額の報酬をもって外部から優秀な人材を集めて組織をつくるのとは対照的です。つまり属人的な要素を捨てて、現場であつめた知見を社内で共有してマニュアルをつくるという発想です。そうすれば新人社員でも一定レベルの仕事ができるというわけです。

たしかに良品計画のような大規模なビジネスを全体的に考えれば、マニュアルに基づく経営は合理的なのだろうが、一顧客としては面白くないという面もあるように思います。つまり、マニュアルに頼った経営では、主に都市部に展開されている鋭い感性が溢れている店舗にはやはり敵わないと思うからです。商圏が全国に広がっている大規模経営では、そうしたマーケットは捨ててもいいのかもしれないが、一消費者としては物足りない。

また、この本からは多少脱線するが、「無印良品」には定番商品がないことが気になっています。例えば、無印良品の文房具を買って次も同じものを買いにいくと、もう売ってなかったりします。食器でも同様で、せっかく無印良品で揃えても割れたので追加しようとしたら、すでに廃番になっていたりします。これはなんとかしてほしいなぁ。